和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

紀州梅干し「もぐもぐ」 五輪カーリングで日本女子支える

カーリング女子日本代表選手が食べている「梅ぼし田舎漬」(中田食品提供)
カーリング女子日本代表選手が食べている「梅ぼし田舎漬」(中田食品提供)
 北京冬季五輪で2大会連続のメダル獲得を目指すカーリング女子の日本代表(ロコ・ソラーレ)が、試合途中に栄養を補給する「もぐもぐタイム」に紀州の梅干しを食べている。16日は米国に勝って1次リーグ突破へ前進した。梅干しは疲労回復などの効果が期待され、スポーツの現場で選手たちを支えている。


 北京五輪のカーリングは全10エンドを戦う。試合時間は約2時間半に及ぶため、第5エンドが終了した後にハーフタイム(デッドタイム)が設けられている。日本の選手たちは栄養を補給しながら戦術などを話し合い、その姿が「もぐもぐタイム」として、銅メダルを獲得した前回の2018年平昌五輪から注目された。

 今大会、日本は8日間で1次リーグ9試合を戦っている。日本の選手がハーフタイムに持ち込んでいるのは、中田食品(和歌山県田辺市下三栖)が1967年に発売したロングセラー「梅ぼし田舎漬」と、塩分5%の減塩梅干し「しらら」。どちらも紀州産南高梅を使用し、一粒ずつ三角形に包装されている。

 同社は、2004年のアテネ五輪から夏と冬の五輪で日本選手団にこの2種類の梅干しを提供している。サッカーの日本代表にも梅干しを提供しており「海外遠征に欠かせない」と喜ばれているという。

 大会の後にはスケートや競泳、サッカーなど多くの選手からお礼の手紙やサイン色紙、商品と選手が一緒に写った写真などが同社に届いている。

 中田食品広報担当の小串慎一さんは「一粒ずつ個包装した梅干しは競技場に持って行きやすいのではないか。産地では後継者の問題や食の洋風化による消費機会の減少など暗い話題が多い中、スポーツの観点で梅干しが見直される機会になればうれしい」と話している。

 カーリング女子の日本は16日現在、1次リーグで5勝3敗。紀州の梅干しを力に変えて準決勝進出、メダル獲得となるか。

■スポーツの補助食に

 田辺市出身で、スポーツチームの保護者らに栄養教室を開いている管理栄養士の大室夢乃さん(26)=和歌山市=の話 梅干しに含まれるクエン酸は、筋肉疲労の原因物質である乳酸の生成を抑える効果がある。体内の水分バランスを適度に保つナトリウムや、貧血やめまいを防ぐ鉄分も豊富で、スポーツに必要な栄養素を補える。持ち運びも便利で衛生的。カーリング女子チームが補助食としてうまく取り入れている。