和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

就農希望者に農地準備 梅会社と農家の若手グループ

肥料をまき、新規就農希望者向けの畑の管理をする梅会社や農家の若手有志グループ(和歌山県みなべ町埴田で)
肥料をまき、新規就農希望者向けの畑の管理をする梅会社や農家の若手有志グループ(和歌山県みなべ町埴田で)
 和歌山県みなべ町や田辺市の梅加工会社や梅農家の若手有志でつくるグループが、新規就農希望者のための農地を準備する取り組みを始めた。新規就農希望者の独立がスムーズにいくようにと、農家での研修と並行し、グループが用意した農地で主体的に栽培管理を体験してもらう。地域の農地が耕作放棄地にならないよう、つないでいく狙いもある。


 有志は高校時代の同級生や後輩といったつながりのある4人。みなべ町晩稲の梅加工販売会社代表、山本将志郎さん(28)と同町山内の梅加工販売会社社員、花村紘弥さん(28)、同町東本庄の梅農家、土井景太さん(25)、田辺市上秋津の梅やミカン農家の中山将誓さん(27)。

 新規就農希望者は、親が農家でない場合、どこかの農家で研修を受けた後、借りる畑を探すなどして独立するのが一般的。しかし、地元外から来た人は良い農地を探すことが大変だという。

 グループの取り組みでは、1年間は一緒に作業し、可能であれば2年目から農園長になってもらう。その後、就農希望者の意向や栽培管理状況を踏まえ、農地の所有者とも話し合った上で、可能であれば、直接、就農希望者が所有者から農地を借りて独立していく方針という。

 山本さんが、外部から就農希望者を呼び込む活動の中で、この取り組みを考えた。花村さんは仕事を通じて、梅農家が減っていることに危機感を持ち、中山さんも周りで同世代の農家が少なく、地域の農業の将来に不安を感じていた。土井さんも取り組みに賛同し、手伝うことにした。

 今回、みなべ町内の人から、次の担い手が決まっていなかったという梅畑約40アールを借りた。メンバーは今年2月から剪定(せんてい)や肥料やり、草刈りなどをして準備している。9月からは県の「農業農村活性化支援モデル事業」の委託金を受けている。

 来年1月からは、和歌山市の若者が農家で研修を受けながら、就農を目指す予定になっており、研修と並行して、この梅畑で栽培管理をしてもらう計画だ。

 花村さんは「梅を作る農家がいてこそ、梅製品を作ることができる。微力ながら、農家を増やしていくきっかけや支えになれば」と話す。

 山本さんは「グループで用意する畑だけでは経営が成り立たないと思うが、小規模でも主体的に管理する畑があった方が技術が早く身に付いたり、独立のイメージもしやすかったりすると思う」と話す。

 グループは、新規就農希望者に向けて取り組みをPRする動画も作成する。今後も、他の新規就農希望者向けに、条件の良い農地を探しており、この取り組みに協力してもらえる農地があれば教えてほしいという。

 連絡は、山本さん(080・1173・2685)まで。