和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

イノ、シカにチョウ注意! 国道に花札モチーフの看板

花札の絵柄をモチーフに、イノシシやシカへの注意を呼び掛ける看板。夜でも見やすいよう反射する素材で作ったという(和歌山県串本町和深で)
花札の絵柄をモチーフに、イノシシやシカへの注意を呼び掛ける看板。夜でも見やすいよう反射する素材で作ったという(和歌山県串本町和深で)
 イノシシやシカにチョウ(超)注意! 花札の絵柄をモチーフに、そんな願いが込められた注意看板が和歌山県のすさみ町里野と串本町和深の町境付近から同町高富までの国道42号沿いに立てられ、ドライバーの目を引いている。

 高速道路「すさみ串本道路」の工事に五つの現場で携わっている木下建設(有田市)が制作した。すさみ町から串本町の国道42号沿いでは通行車両とイノシシやシカが衝突する事故が相次いでおり、串本署ではチラシを配るなどして啓発。それを知った同社が「工事で地域の方にご迷惑を掛けており、啓発活動に協力できれば」と協力を申し出た。デザイナーに依頼し、三つのパターンのデザインを作って提案したが、伝統的な花札の絵柄をアレンジしたデザインを「一番インパクトがある」として特に推薦。注意看板として採用され、6月下旬から設置している。

 看板は縦165センチ、横55センチ。イノシシの絵と「当て逃げ注意」という文字、シカの絵と「猪鹿飛び出し」という文字の看板ほか、チョウの絵と「すさみ串本道路工事」の文字が書かれた計3種類を作った。道路管理者の許可を得て、各工事現場の入り口付近などに計24枚を設置している。

 串本町和深にある小河瀬谷川作業所の宮本龍一所長は「衝突はしなかったが、自分もシカと遭遇して怖い思いをしたことがある。看板を見て注意をし、少しでも事故が減ってくれたら大変うれしい」と話す。

 串本署によると、管内でのシカやイノシシとの衝突事故は2018年が14(シカ13、イノシシ1)件、19年は22(シカ19、イノシシ3)件、20年は20(シカ17、イノシシ3)件発生している。特に国道42号沿いが多く、ほとんどが夜間。今年の発生件数は、6月末までに前年並みの8件という。

 串本署の宮井大輔交通課長は「警察だけでは啓発にも限界があるので、民間の方の協力は大変ありがたい。デザインはお任せしたが、よく目に付く。衝突事故が多発していることを知ってもらい、安全運転を心掛けてほしい」と話している。