和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

手荷物検査をAIで支援 白浜空港、精度・効率向上へ実験

人工知能を導入する実験が始まる南紀白浜空港の搭乗待合室にある保安検査場所(和歌山県白浜町で)
人工知能を導入する実験が始まる南紀白浜空港の搭乗待合室にある保安検査場所(和歌山県白浜町で)
人工知能を用いた実証実験のイメージ図(日立製作所提供)
人工知能を用いた実証実験のイメージ図(日立製作所提供)
 和歌山県白浜町の南紀白浜エアポートは、日立製作所(東京)と連携し、今秋にも南紀白浜空港での保安検査に人工知能(AI)を導入する実証実験を始める。検査の精度や効率をより高めたいという。


 対象にするのは、搭乗待合室に入る際の手荷物検査。現在は、装置を通る手荷物にX線を照射し、その画像を検査員が目視で危険物を見つけている。ここに日立のAIシステムを取り入れる。AIの判定結果を踏まえて検査員が判断する仕組みという。

 白浜空港では、9月から保安業務を担う事業者にシステムを使ってもらい、改善点がないか確認する。必要に応じて調整し10月以降、日本航空定期便の離陸前の本業務へ試験的に導入する方針。

 エアポート社と日立は26日、実証実験をするための覚書を締結した。期間は来年3月までで、日航にも協力してもらう。エアポート社と日立では「白浜でビジネスモデルを構築したい」と話しており、全国の空港へも取り組みを広げられたら、と展望している。

 エアポート社によると、高度な安全性が求められる現場で、〝見逃し〟のリスクがないとはいえず、それが許されないストレスが検査員に生じるのが課題になっている。

 日立によると、このAIシステム自体は、空港での保安業務以外では既に実用化している。社内での実験では、同じ時間内に検査できる数が約4割増えたという。

■国は基本方針策定へ

 空港での保安検査を巡っては、国も基本方針の策定に向けた動きを進めている。

 保安検査を乗客に義務づける改正航空法が6月に成立したことを踏まえた。国土交通省の有識者会議は保安検査の向上策の一つに、先進機器の導入推進や検査員の労働環境の改善を掲げており、財源の充実も含めて検討し、基本方針へ反映させるという。