和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

自家用車で高齢者ら送迎 龍神村のNPO、有償運送へ準備

有償運送で使う予定の自家用車(和歌山県田辺市龍神村福井で)
有償運送で使う予定の自家用車(和歌山県田辺市龍神村福井で)
 和歌山県田辺市龍神村で地域活性化に取り組んでいるNPO「ええとこねっと龍神村」は、登録を済ませた地元住民の自家用車で高齢者らを送迎する有償運送の実現に向け、準備を進めている。このほど実施した住民へのアンケートでも実現に期待する声が多く、来年度からの実施を目指している。


 県内の民間団体として初めての試み。同NPOでは、過疎高齢化が進む中、路線バスの減便などもあり、交通問題に対して今のうちに住民同士が支え合うサービスを考えようと、以前から有償運送の実現に向けた準備を事業計画に盛り込んできた。

 これまで先進地を視察したり、実際の運送に当たって必要な資格の講習を受けたりしている。これから民間の運送事業所や地域公共交通会議、行政などの関係機関との事前協議が必要で、輸送方法や料金などの詳細は検討中。

 有償運送は、通院や買い物などを希望する住民から予約を受け、同NPOがあらかじめ登録した人の自家用車を手配する仕組み。送迎の範囲は龍神村内のみ。できるだけ路線バスなどを使ってもらうようにして、既存の交通手段と共存しながら、より使いやすい移動手段を目指すという。

 住民の意向を調査しようと、4月と5月の2回、路線バスが走る幹線道路周辺とそれ以外の地域の計約100人を同NPOのメンバーが戸別訪問し、アンケートを実施。有償運送について「お願いしたい」「やってもらうと心のよりどころとなる」「心待ちにしている」など期待の声が聞かれ、必要でないと答えた人は1人もいなかった。

 自家用車を使った有償運送をしたいというドライバーも募ったところ、既に17人が登録済み。

 一方、住民が普段の生活に使う以外のニーズもあるとみており、旅館やホテルに宿泊した観光客らが、龍神村内を移動する際に利用してもらうことも考えている。

 同NPOの後藤昇代表理事(71)は「住民のアンケートで期待する声は予想通りだった。17人の運転手が楽しい雰囲気で出迎えるようにしたいと考えている。交通手段がなくて外出しづらい高齢者も活用できる」と話している。