和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

3種の稲で田んぼアート 龍神中1年生が苗植え

温泉マークを描く田んぼで稲の苗を植える龍神中学校の生徒(14日、和歌山県田辺市龍神村安井で)
温泉マークを描く田んぼで稲の苗を植える龍神中学校の生徒(14日、和歌山県田辺市龍神村安井で)
事前にくいを打つ作業をする南部高校龍神分校の生徒
事前にくいを打つ作業をする南部高校龍神分校の生徒
 和歌山県田辺市龍神村で地域おこしに取り組む龍神寄合会を構成する「田んぼアート実行委員会」(冨田進委員長)は、龍神村安井の水田で、穂の色が違う3種類の稲を育てて絵を描く恒例の「田んぼアート」に取り組んでいる。14日は時折降る雨の中で田植えがあり、近くの龍神中学校の生徒が参加した。


 田んぼアートは2014年から続けている。昨年に続いて3枚並んだ田のうち、2枚に描く。1枚の田に龍神温泉を宣伝する温泉マーク、隣の1枚に今年初めて特産品の一つ「ユズ」を擬人化してほほ笑んでいる絵を描く。もう1枚の田は、絵は描かずに機械で植えた。3枚の田の面積は約1・5アールになり、毎年秋に収穫している米は龍神中と南部高校龍神分校に寄贈している。

 田んぼアートに使用する稲は、稲穂の色が赤いカンニホ、緑のミドリマンヨウ、黄のキヌムスメ。収穫時季が近づくに連れて絵が浮かび上がってくる。

 実行委によると、コロナ禍を吹き飛ばし、実りの秋にはみんなが笑顔で明るくなるようにとの願いを込め、ユズが笑っている絵にしたという。ユズの絵は龍神分校の生徒が担当し、龍神中の生徒は温泉マークを担当する。

 この日の田植えには、龍神中の1年生22人が参加。冨田委員長(73)から、カンニホは植え過ぎると病気になりやすいことから苗を1本ずつ植えるようにとの注意を受け、はだしになって田に入って、温泉マークの絵柄に沿って立てられたくいを目印に、カンニホとキヌムスメの苗を植えた。

 龍神中では、新型コロナウイルスの感染対策で、密にならないように1年生は田植え、2年生は稲刈りと手分けして作業をする。3年生は田んぼアートの近くで栽培しているサトイモの収穫を体験する予定。

 田植えを体験した黒田竜介君(12)は「家が農家で田植えは手伝っているので難しくなかった。田んぼアートは以前から見ていたので、参加できてうれしい。小学校の時に龍神温泉について学び、PRする取り組みを体験していたから、稲が元気に大きく育ってほしいし、田んぼアートで龍神温泉をもっとみんなに知ってもらえたらと思う」と話した。

■分校生が事前にくい打ち

 田植えを前に11日には、苗を正確に植える目安にするため、絵柄に合わせてくいを立てる作業があった。龍神分校の2年生12人が寄合会のメンバーと一緒に作業をした。くいは温泉マークに94本、ユズの絵に120本を使用。龍神分校の生徒による田植えは16日に予定している。

 作業に参加した龍神中出身で野球部の松田健太郎君(16)は「中学生の時は田植えの体験をしたが、くい打ちの作業は初めて。巻き尺で測ってくいを打つのが難しかったが、慣れるとうまくできた。野球部の練習で田の近くを通るので、稲が育ってきて絵がきれいになってほしい」と期待した。