和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年08月02日(月)

大豆イソフラボンでナマズを全て雌に 近大実験場が成功

新宮実験場で飼育研究しているナマズ
新宮実験場で飼育研究しているナマズ
 近畿大学水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)の稲野俊直准教授の研究グループは、大豆イソフラボンを使ってナマズの全雌化に日本で初めて成功した。研究グループは「女性ホルモンを使わずに雌化が可能になった。実用化できれば、より安全に雌の価値が高い他の養殖魚への応用もできる」と期待している。


 女性ホルモンで魚が雌化することはこれまでの研究で確認できているが、国は食用魚に使うことを認めていない。そこで、サプリメントとして市販され、生物の体内で女性ホルモンと同様の作用を持つ大豆イソフラボンの成分に着目した。

 ナマズは古くから養殖技術が確立されており、近年激減するウナギの代替品としても注目されている。ナマズ養殖で全雌化が実現すれば、性差による成長のばらつきを低減することで生産効率を高め、利用が難しい小型の雄の廃棄ロスを削減できるという。

 ナマズの養殖では雌が1年未満で出荷サイズ(600グラム以上)に達するのに対し、雄は出荷サイズ前に成長が停滞するため養殖期間が長くなっていた。養殖場によっては雄が多くなり、生産効率が低下する事例もあった。

 新宮実験場は昨年9月から、大豆イソフラボンを用いたナマズの稚魚の雌化研究を行ってきた。大豆イソフラボンの成分の一つゲニステインを溶かした濃度の違う飼育水、普通の飼育水、女性ホルモンを溶かした飼育水の計5グループで実験。ふ化直後の稚魚150匹ずつを15日間飼育。16日目から150日目までは普通の飼育水で飼育した。

 生存していた全てのナマズを解剖して生殖腺を調べた結果、大豆イソフラボン飼育水では一定の濃度以上ですべて雌になることが分かった。普通の飼育水では68%、女性ホルモンでは100%だった。

 今回の実験は試薬を使っており、今後、餌から大豆イソフラボンの成分を摂取できる方法を考えていく。さらには高級食材キャビアの親であるチョウザメでも、大豆イソフラボンを使った雌化の研究に取り組みたいとしている。