和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

古道の本来ルート復活 田辺市本宮町三越、台風被害から2年半

新たに架けた橋のたもとに、熊野古道の道標を設置する関係者(和歌山県田辺市本宮町三越で)
新たに架けた橋のたもとに、熊野古道の道標を設置する関係者(和歌山県田辺市本宮町三越で)
地図・熊野古道の迂回路
地図・熊野古道の迂回路
 2年半前の台風被害以降、通行止めにしたり、迂回(うかい)路を設けたりしていた和歌山県田辺市本宮町三越の熊野古道の災害復旧工事がほぼ完了、1日から本来のルートを通れるようになった。湯の峰温泉につながる熊野古道「赤木越」の分岐点となる音無川に新たな橋を架けたり、川沿いの古道などを修復したりして発心門王子―赤木越分岐間の通行止めを解除。熊野本宮大社と湯の峰温泉を結ぶ人気の周遊ルートも歩きやすくなった。

 世界遺産熊野本宮館によると、2018年8月下旬の台風20号の大雨により、発心門王子と三越峠を結ぶ熊野古道の途中にある船玉神社そばの「赤木越」へ分岐する地点が被災。橋が流失し、熊野古道も崩落したため、通行できなくなった。

 その後、発心門王子から三越峠の間は市道と林道を通ってもらう迂回路を設けたほか、一部が復旧した後は仮設の木橋をつけて赤木越も通れるようにしたが、工事の関係で、発心門王子から赤木越分岐までの約1・2キロについては通行止めが続いていた。

 このルートは赤木越や大日越を通り、熊野本宮大社と湯の峰温泉を結ぶ周遊ルートの一部。外国人観光客らから「本宮ループ」という愛称で親しまれていたが、災害発生後は約4キロの迂回路を通らなければならなくなったため、以前は約6時間で歩けたものが1時間ほど余計にかかり、歩きにくくなっていたという。

 本来のルートの利用が再開されるのを前に、通行止めになっていた熊野古道を市職員約10人がこのほど清掃。雑草を刈ったり、落ち葉を取り除いたりした。

 熊野本宮館の担当者は「復旧工事を進めている途中で再び台風被害に遭ったために予定より工期が延びてしまった。人気の周遊ルートが歩きやすくなるのは、本宮の観光にとって大きい。まだ一部の砂防工事が残っているので、工事車両に気を付けながら歩いていただけたら」と話している。