和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月21日(木)

地域中核校として存続方針 再編整備で串本古座高校

串本古座高校で開かれた県立高校再編整備の説明会(18日、和歌山県串本町串本で)
串本古座高校で開かれた県立高校再編整備の説明会(18日、和歌山県串本町串本で)
 和歌山県教育委員会は18日、串本町串本の串本古座高校で県立高校再編整備に関する説明会を開いた。県の担当者は、同校のような地域の中核の役割を担う高校は存続していく方針であると説明し、来場した地域住民から安堵(あんど)の声が上がった。


 県教委の諮問機関「きのくに教育審議会」が、県内の県立全日制29高校を2034年までに20校程度に再編するのが妥当との答申を昨夏に出したことを受け、県教委は県内各地で説明会を開いている。

 この日の説明会には、串本町の田嶋勝正町長や町議をはじめ、教育関係者ら約30人が参加。県教育庁教育総務局の出津野孝昭局長と下村史郎総務課副課長が、県教委は再編ありきではなく全県立高校を充実させ「できるだけ存続させる」方針であると説明した。

 県教委の骨子案では、県内を田辺・西牟婁、新宮・東牟婁など11地域に分け、各地域に中核の役割を担う高校を1校配置するとしていることも説明。串本古座高校は、そのうちの串本町・古座川町地域にある唯一の高校となっている。

 下村副課長は、県内の高校生数はピーク時の1989(平成元)年に約1万8千人だったが、現在は約8千人で、14年後には6千人を切ると予測されていると説明。生徒が満足できる高校をつくるためには地域の特色を生かした学校づくりが大事になるが、串本古座高校の場合はロケットやジオパークなどが武器になると指摘。ロケット事業の発展次第では今後、地域の子どもの数が増える可能性もあるとし、地域と学校が一体となったモデル校になることを期待していると述べた。

 同町田原に来年度、ロケット発射場が完成することを受け、串本、古座川の両町の首長や町議会議長らで組織する串本古座高校地域協議会は昨年11月、同校の教育にロケットや宇宙関連の学習を取り入れるとともに、宇宙分野に関心の高い教職員を配置することを求める要望書を県教委に提出している。

 質疑応答で串本町議から、宇宙に詳しい教員を配置してもらいたいとの要望があり、出津野局長は「異動については何とも言えない」と回答。左近晴久校長は、地域にはさまざまな魅力があるが、今後ロケットが加わることになるとし「積極的に研究を深めていきたい」と述べた。

 別の町議は、ロケットに詳しい教師の授業をオンラインで受けられるようにできないかと聞き、出津野局長は「工夫したい」と回答した。

 県外の人でも串本古座高校をサポートできる仕組みを作ってほしいとの要望が参加者からあり、出津野局長は、ふるさと納税で支援できる制度を昨年作ったと紹介した。