和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

【動画】白良浜の夏再開 「巨大地震注意」終了も夏の観光に打撃、和歌山

 気象庁が初めて発表した南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が15日午後5時、注意の呼びかけを終了した。9日から白良浜海水浴場などを閉鎖していた和歌山県白浜町では、15日午前から措置を解除。県内外から訪れた観光客でにぎわい、活気を取り戻しつつある。地震の影響で運休していたJR西日本の特急列車も運転を再開した。


 8日午後4時43分ごろ、宮崎県沖日向灘を震源にマグニチュード7・1、最大震度6弱の地震が発生。南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを受け、白浜町は9日から白良浜など4カ所の海水浴場への立ち入りを規制した。

 10日に南紀白浜観光協会が予定していた「花火フェスタ」も中止。町内の宿泊施設はキャンセルが相次いだ。

 白浜温泉旅館協同組合によると、宿泊キャンセルの被害はこの1週間で5億円以上。「観光施設や飲食店、土産物店などへの影響もあり、町全体の被害はもっと大きくなる」と話す。南紀白浜観光協会は、9月ごろに花火フェスタの代替イベントができないか検討している。

 閉鎖措置が解除され、遊泳可能になった15日午前、大江康弘町長や町職員が白良浜で、地震が起きた際の避難場所への経路図や観光防災デジタルマップ「しらはまこんぱす」の2次元コードなどが表示された紙を海水浴客らに配り、海水浴場内の各所に掲示した。海水浴客への避難の合図となる赤と白の「津波フラッグ」についても周知に努めている。

 大江町長は「(巨大地震注意の呼びかけ期間は)厳密には15日午後5時までだが、せっかく来ていただいた皆さんに白良浜などを楽しんでもらおうという思いで、何もなければ開けようと決めた」と話した。

 打撃を受けた観光業界への対応については「それぞれの自治体の判断の中で被った損害なので、県や国がどこまで受け止めてくれるか分からないが、21日に東京に行って関係機関に支援をお願いしていきたい。同時に、町として単独で何ができるのかもしっかりやっていきたい」と述べた。8月末までとしている海水浴場の開設期間については、期間の延長も検討しているという。

 町観光課によると、15日は白良浜に約3千人が来場したが、例年に比べると少ない。

 16日も白良浜には朝から海水浴客が訪れた。大阪府四條畷市から訪れた東野清香さん(47)は「南海トラフ地震臨時情報で訪れるのは少し心配な部分もあったが、避難経路を掲示したり、アナウンスで呼びかけたりしてくれており、危機管理が整っていると感じて安心した。経済を回して応援したい」と話した。

■特急も通常運行

 交通機関も通常通りの運行に戻った。JR西日本は15日夕方に和歌山―新宮駅間の特急列車の運転を再開したほか、御坊―新宮駅間で、速度を落として運転していた普通列車も通常の速度に戻した。16日は通常通り運行している。

■防災意識高く保って

 県は15日、災害対策本部の会議を開き、職員の24時間態勢での対応を終了し、対策本部も解散した。会議で岸本周平知事は「大地震発生の可能性がなくなったわけではない。今回高めた防災意識を引き続き保って、地震発生に注意し、命を守る行動に取り組んでもらいたい」と県民にメッセージを発信した。

 紀南の各自治体も防災行政無線などを通じ、住民に巨大地震に注意を呼びかける期間が終わったことを伝えるとともに、避難路の確認や家具の固定など日頃からの地震への備えを呼びかけるなどした。

閉鎖措置が解除され多くの観光客でにぎわう白良浜海水浴場(16日、和歌山県白浜町で)
閉鎖措置が解除され多くの観光客でにぎわう白良浜海水浴場(16日、和歌山県白浜町で)
公式SNS!フォローしてね!
友だち追加

アクセスランキング

趣味・娯楽

読者チャンネル

新着リリース

紀伊民報からのお知らせ