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宿泊キャンセル相次ぐ 巨大地震注意で紀南各地

立ち入り禁止になっている白良浜海水浴場(12日、和歌山県白浜町で)
立ち入り禁止になっている白良浜海水浴場(12日、和歌山県白浜町で)
 気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表したことを受け、和歌山県の紀南各地の宿泊施設でキャンセルが相次いでいる。一年で最も観光客の多い時期に重なったため、関係者の落胆は大きい。

 白浜町の宿泊施設は、盆休み期間中、予約でほとんど満室だったが、半分以下に減った施設もある。宿泊施設関係者は「9、10日とキャンセルの電話が鳴りっぱなしだった。盆休み期間の宿泊は半分以上キャンセルになった。8月下旬にも影響が出ている」と話した。

 白浜温泉旅館協同組合(加盟24施設)によると、昨年8月の宿泊者数は12万7065人で、コロナ前(2019年)の9割にまで回復していた。組合は「今年の8月は天候次第で昨年を上回ると思っていたが、巨大地震注意が出たので厳しい」と語った。

 今年7月の宿泊客は昨年同時期より3013人減の9万8566人。1~7月の合計は、54万9327人で、前年比2万7991人増となっている。昨年の年間宿泊者数は96万237人だった。

 世界遺産の熊野本宮大社などがある田辺市本宮町でも各宿泊施設でキャンセルが出ている。

 熊野本宮観光協会によると、13、14、15の3日間だけで約100人が宿泊の予約をキャンセル。「海水浴場が閉鎖されているので、川で泳ぐことができるか」という問い合わせも何件かあったが、例年の盆時期と比べると町内を訪れる観光客の数は少なめに感じるという。

 担当者は「いつ起こるかどうか分からない状況なのでやむを得ないことだと思うが、一番の稼ぎ時であり残念」と話した。

■白良浜立ち入り禁止

 白浜町は10日から、白良浜海水浴場への立ち入りを禁止にした。9日から閉鎖していたが、泳ぐ観光客が相次いでいたためで、町は「観光客らの安全を最優先した苦渋の決断」として理解を求めている。

 巨大地震発生で白良浜には5分で1メートル、9分で3メートル、13分で5メートルの津波が到達すると想定されている。

 町は、白良浜海水浴場に約10人の警備員を配置し、砂浜に入ろうとする観光客に説明している。付近の駐車場は臨時休業している。立ち入り禁止期間はおおむね1週間程度。

 12日、砂遊び道具を持って白良浜を訪れていた大阪府の親子3人は「泳げないことはニュースで知っていたが、砂浜には入れると思っていたので残念」と話していた。

 警備員は、浜に入って記念撮影をしようとする外国人観光客への対応に苦慮していた。

■花火大会 相次ぎ延期

 紀南地方の各市町で予定されていた花火大会は、相次いで延期が発表された。

 13日の予定だった新宮花火大会は20日午後7時半から、14日の太地町花火大会は19日午後8時から、15日のすさみ花火大会は18日午後8時半から開催する。

 太地町では9日、ハナゴンドウと一緒に泳ぐことができるくじら浜海水浴場が今季の開設を終了した。

■スポーツ合宿中止も

 合宿や大会の会場として知られる上富田スポーツセンター(上富田町朝来)では、9日以降、少年サッカー大会のほか、高校野球部や大学アメリカンフットボール部の合宿が中止になった。計約200人のキャンセルになるという。

 センターを管理する南紀ウエルネスツーリズム協議会ゼネラルマネジャーの嶝和晃さん(42)は「残念ではあるが、仕方ない」と話した。予定通りに来ているチームもある。

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