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小栗街道の絵地図を冊子に 田辺の生駒さん描く

「小栗街道おぼえがき絵地図」を作った生駒和歌子さん(中央)と、協力した安井理夫さん(右)や中田登さん
「小栗街道おぼえがき絵地図」を作った生駒和歌子さん(中央)と、協力した安井理夫さん(右)や中田登さん
 和歌山県田辺市中芳養の生駒和歌子さん(51)が、冊子「小栗街道おぼえがき絵地図」(A4判、27ページ)を発行した。小栗判官が通った伝説が残る、熊野古道中辺路の潮見峠越と上富田町下鮎川から同市本宮町本宮までの道を、生駒さんが実際に歩いて描いた絵地図。生駒さんは「道が忘れられないよう、記録として残したかった」と話している。


 小栗判官物語は、相模国(神奈川県)で毒殺された小栗判官が、閻魔(えんま)大王の慈悲によって餓鬼阿弥の姿で現世に戻り、土車に乗せられ、熊野まで照手姫らによって引かれ、熊野権現の加護や湯の峰の湯で元の姿によみがえったという伝説。

 生駒さんは熊野古道の保全や案内をする「熊野古道大辺路刈り開き隊」のメンバーで、大辺路や古座街道の絵地図を描いてきた。

 2019年に印南町から上富田町までの伝説が残る小栗街道の絵地図を作っており、今回、その続きとして2年かけて仕上げた。副題を「世界遺産熊野参詣道中辺路 潮見峠越と『熊野詣での脇道―鮎川から本宮へ―』を辿(たど)って」としている。

 潮見峠越の道は、田辺市上万呂から同市中辺路町栗栖川までの約15・7キロを描いた。途中、長尾坂登り口付近には、照手姫が小栗を土車に乗せて上った時、くぼ地で土車の輪が欠けたことにちなんで付けられたとされる「カキノクボ」という地名があることなどを紹介している。

 熊野詣での脇道としては、文化庁の「歴史の道百選」にも選定された小栗街道のルートを含む約45キロを描いた。上富田町下鮎川から田辺市平瀬、宇井郷、三日森山付近、本宮町の大瀬、湯峯を経て、本宮町本宮までの間。小栗が照手姫に引かれて3日かけて越したので呼ばれたという「三日森山」、よみがえった小栗が力試しに持ち上げたという「力石」などを記している。

 絵地図は道や小栗の伝説だけでなく、沿道のほこらや地蔵、寺社、伝承などもイラスト入りで紹介。絵地図と別に、歩いた道の状態や感想、各ポイントの写真を付けたページも織り交ぜている。実際に歩くのには荒れて危険な所もあり、記録的な意味が強いという。

 物語の研究や伝承活動をしてきた白浜町堅田の安井理夫さん(87)や、同級生で同市秋津町の中田登さん(87)の協力でルートを確認したり、語り部関係者と一緒に歩いたりもした。

 生駒さんは「良い雰囲気の道が残っている所もあった。何もせずに道が忘れられ、埋もれていくのは残念なので、記録として伝えたい。できれば復元されるとうれしい」と話している。

 500部発行。1100円(税込み)で、同市のあおい書店で販売している。

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