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2024年12月20日(金)

田辺市文化賞に五味田さん(合気道)、多屋さん(地方史研究)

(左から)五味田聖二さん、多屋朋三さん
(左から)五味田聖二さん、多屋朋三さん
 和歌山県田辺市は4日、合気道田辺道場長の五味田聖二さん(79)=同市稲成町=と、「あおい書店」代表取締役の多屋朋三さん(75)=同市下屋敷町=に市文化賞を贈ると発表した。五味田さんは長年にわたって合気道の発展に尽力。多屋さんは郷土資料の収集やそれらを基にした復刻版の刊行に取り組んだ。

 五味田さんは同市生まれの合気道開祖、植芝盛平(1883~1969)から直接手ほどきを受けた数少ない現役の指導者。中学1年生で門弟となり、25歳の時に田辺道場長に任命されて以来、半世紀以上にわたって合気道の普及と指導に力を注いできた。

 県合気道連盟理事長、植芝盛平翁顕彰会理事長、全日本合気道連盟理事を歴任。盛平を顕彰する「合気道国際奉納演武」の開催に尽力し、世界20カ国の合気道愛好者が参加する大会へと成長させた。

 五味田さんは「今年、植芝盛平記念館が併設された武道館が完成した。この武道館を拠点として、より多くの方に翁先生のことを知っていただければうれしい。受賞を一層の励みとし、合気道の発展のために頑張りたい」とコメントした。

 多屋さんは同市湊の「あおい書店」を経営。一般書籍を販売する傍ら、主に明治から昭和初期にかけての郷土資料を収集し、その復刻版や郷土図書を世に送り出してきた。

 2017年刊行の『日露戦争を伝える 牟婁新報号外』は、田辺地方で発行されていた新聞「牟婁新報」が開戦前夜から約1年間にわたって戦況を報じた号外185部を1冊にまとめたもので、同時代を研究する関係者から高い評価を受けている。

 多屋さんは「郷土資料の出版や復刻をするなかで、先輩や先生方、友人に支えられてやってこられたことを幸せに思っている。これからも資料の収集と出版を微力ながら続けたい」とコメントしている。

 文化賞は、旧田辺市で1970年に創設した制度を継承し、今回で51回目。市の文化発展に貢献した人を対象にしており、受賞は計76人となる。

 贈呈式は26日に市役所である。