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2024年12月22日(日)

「和歌山梅酒」をGIに指定 国税庁、酒類で国内13件目

「和歌山梅酒」GIロゴマーク
「和歌山梅酒」GIロゴマーク
 日本一の梅の産地、和歌山県で造られる梅酒が7日、「和歌山梅酒」として地理的表示(GI)に指定された。酒類としては全国で13件目。関係者らは「念願がかなった。全国や世界にアピールしていきたい」と喜んでいる。

 国税庁が発表した。GIは、産地ならではの特性が確立されている場合、その地で生産され、基準を満たした商品だけが産地名(地域ブランド)を独占して名乗ることができる制度。「地域ブランド」として他の製品との差別化を図ることができ、一定の品質が保たれていることで消費者の信頼性向上にもつなげられる。とりわけ、GIが浸透しているヨーロッパなど海外にアピールできる。

 指定された「和歌山梅酒」は、爽やかな風味の酒としての特性だけでなく、急傾斜で降雨が多く、古来より発酵食品の製造が盛んな地域で造られたという特性も含め、認められた。区分は、酒類に糖類や果実などを混ぜて造ったリキュール。

 生産基準は、県内で収穫された新鮮な青梅や完熟梅を原料に使い、県内で蒸留酒や清酒、ウイスキー、ブランデー、スピリッツなどに漬けて造った梅酒。酒1キロリットル当たり梅の実を300キログラム以上使い、90日以上漬け込むことなども定められている。

 県内で梅酒を造る酒造会社や梅加工会社などが「GI和歌山梅酒管理委員会」(中野幸生会長)を設立しており、今後、和歌山梅酒の特性を維持するための管理をする。基準を満たしていれば、「和歌山梅酒」を証明するロゴマークの使用を認める。さらに7年以上熟成した梅酒を「長期熟成」と定め、証明する。

 現在、29社が入会している。今後、梅酒を製造する農家も含め、加入を増やし、梅酒の産地として盛り上げていきたいという。

 これまで国内で指定されている酒類のGIは、壱岐の麦焼酎、琉球の泡盛、薩摩の芋焼酎、山梨のぶどう酒、灘五郷の清酒などがある。

 管理委員会の中田吉昭副会長は「品質の良い梅を使った和歌山の梅酒を、地酒のように地域発の生産物として全国や世界に売り出しているが、今後、GIを活用して一層、アピールしたい」と話している。