和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月30日(月)

県高校総体の代替大会始まる 和歌山

南部高校体育館であった熊野と田辺の試合(27日、和歌山県みなべ町芝で)
南部高校体育館であった熊野と田辺の試合(27日、和歌山県みなべ町芝で)
懸命にパドルをこぐ女子カナディアンの選手(27日、和歌山市の紀ノ川で)=和歌山県高校体育連盟カヌー専門部提供
懸命にパドルをこぐ女子カナディアンの選手(27日、和歌山市の紀ノ川で)=和歌山県高校体育連盟カヌー専門部提供
 新型コロナウイルスの影響で中止になった全国高校総体(インターハイ)とその出場権を懸けた和歌山県総体の代替大会が県内で始まった。27、28日には女子バレーボールとカヌーの大会があった。この大会で部活動を退く3年生は力を出し切り、思い出をつくった。

■「試合できてうれしい」/紀南4校で女子バレー

 女子バレーボールの代替大会は27、28日、熊野、神島、南部、田辺の4高校が参加してみなべ町芝の南部高校体育館であった。

 春の紀南リーグ戦や県総体がなくなったため、4校のバレーボール部顧問で話し合い「紀南代替試合」と名付けた練習試合を設けた。7月4日には、男子バレーボール部がある紀南の4高校が参加して同様の大会を開く予定。

 観戦する部員の間隔を空けたり、総当たりにせず1日2試合に限定したりするなど感染予防策を講じた。各チームは、久々の試合に緊張と楽しさが入り交じった表情を見せながらボールを追い掛けた。保護者は声援や拍手を自粛して観戦した。

 田辺は3年生が4人。この試合を最後に部活動を退いた。主将の新谷友花さん(17)は「勝ち負けより楽しくやろうとみんなで話し合った。ボールをつないで攻めて1セットを先取できてうれしかった。この3年間、仲間と協力して目標に向けて頑張った体験ができた。後輩には悔いのないように日々の練習を大切にしてほしい」と話した。

 神島は3年生が3人。主将の徳田茉衣子さん(17)は「県総体がなくなって不安な気持ちになったが、筋力トレーニングをやってきた。試合が当たり前にできるありがたさを感じた。後輩には頑張ってほしい」と思いを語った。

■「いい思い出に」 紀ノ川でカヌー

 カヌー競技の代替大会は27日、県高校体育連盟カヌー専門部が和歌山市の紀ノ川で開かれた。神島、田辺工業のカヌー部員が出場した。

 感染予防のため2人乗りと4人乗りの種目は実施せず、男女とも1人乗りのカヤックとカナディアンで競った。各選手は500メートルのコースで懸命にパドルをこいだ。生徒や保護者の応援は拍手だけだった。

 女子カナディアンに出場し、最後の大会を優勝で飾った神島3年の阪上恵莉奈さん(18)の記録は自己ベストタイの2分41秒。「インターハイや国体出場を目標にやってきたので残念な気持ちになったけど、最後の大会を開いていただき、すごく楽しめていい思い出になった。拍手だけの応援だったけど、試合の雰囲気は十分に感じられた」と喜びをかみしめた。

 田辺工業カヌー部顧問の谷地利和教諭(48)は「3年生からこの大会への意気込みを感じ、自己ベスト記録を出した選手も少なくなかった。大会の運営にも生徒が協力し、やってきたことを出し切ってくれた」と、感無量だった。