和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月31日(火)

卒業生静かに旅立ち 紀南の高校、予定変更で急きょ

卒業証書を受け取る生徒代表(28日、和歌山県田辺市文里2丁目の神島高校で)
卒業証書を受け取る生徒代表(28日、和歌山県田辺市文里2丁目の神島高校で)
在校生や保護者がいない卒業式で、入場する卒業生(28日、上富田町朝来の熊野高校で)
在校生や保護者がいない卒業式で、入場する卒業生(28日、上富田町朝来の熊野高校で)
 政府が全国の小中学校や高校、特別支援学校を3月2日から臨時休校にするよう求めたことを受けて、和歌山県紀南地方の多くの高校が28日に急きょ、卒業生に卒業証書を授与した。本来は式を3月2日に予定していた。

■神島

 田辺市文里2丁目の神島高校(村岡宏起校長)では、経営科学科121人、普通科118人が卒業した。

 この日、在校生は定期考査中。そのため、試験監督官以外の教員と卒業生のみが参加し、体育館で卒業証書の授与式を実施した。全員マスクを着用した。

 教頭が経緯を説明。「残念だが、気持ちのこもった授与式にしましょう」と呼び掛けた。担任教諭が一人一人名前を呼ぶと卒業生は静かに起立し、各科の代表生徒が村岡校長から卒業証書を受け取った。

 村岡校長は式辞で「3年間、保護者の方々ら周囲の支えがあったことを忘れないで。身に付けた知識を基に最善の行動ができる人になってください。社会に出て充実した人生を送れるよう、夢や希望を持って日々をすごしましょう」と語り掛けた。

 経営科学科の卒業生は「卒業式ができないのは悲しいが仕方ない。先生方は最善の対応をしてくれたと思う」と納得した様子だった。

 同校によると、27日午後8時半ごろ、県教育委員会から電話があり、その後文書で通知があった。あらかじめ式の簡略化は予定していたが、改めて夜のうちに準備して間に合わせたという。

■熊野

 上富田町朝来の熊野高校(鈴木孝夫校長)は校内放送で表彰や校長の言葉、在校生の送辞と卒業生の答辞を済ませた後、体育館で卒業生と教員だけで卒業証書授与式をした。保護者には同日朝、メールで伝えた。

 同校の卒業生は総合学科155人、看護科36人、専攻科26人。午前9時すぎ、全校生徒が各教室で放送を聞き、校歌や学校の応援歌を歌った。その後、3年生は体育館へ移動。担任教諭が「在校生や保護者ら見届けてくれる人はいないけど、気持ちを込めて、立派な態度で最高の卒業式にしよう」と呼び掛けた。卒業生はぎりぎりで間に合ったというコサージュを胸に着け、全員がマスクを着用して入場。各クラスの代表生徒が鈴木校長から卒業証書を受け取った。

 総合学科の男子卒業生は「気持ちの整理ができておらず卒業式という実感はないけど、今できることを精いっぱいしたい」と受け入れていた。