新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、安倍晋三首相が２７日、３月２日から春休みまで、全国の小中高校と特別支援学校の臨時休校を要請すると表明した。和歌山県内では、仁坂吉伸知事が２８日、これを受け入れた上で、小学生については、共働きの家庭などに配慮し、希望者を学校で預かる方針を示した。

　対策会議で安倍首相は、臨時休校を要請する理由について「多くの子どもや教員が日常的に長時間集まることによる感染リスクに備える観点からだ」と説明。子どもが長期間自宅で待機する状況が想定されるため、行政機関や民間企業に対し、休暇を取得しやすい環境の整備や子どもを持つ保護者への配慮を呼び掛けた。

　臨時休校は、文部科学省が２８日、全国の教育委員会などに首相の要請を踏まえ通知した。法的根拠はなく、対応は各自治体などに委ねられる。

　一方、厚生労働省は、保育所は首相要請の対象外で、小学生を放課後に預かる放課後児童クラブ（学童保育）も原則として開所してもらうよう各都道府県に通知。高等専門学校や幼稚園も首相要請の対象外だとみられる。

　安倍首相の表明を受け、仁坂知事は「県内では、まん延していないと推察されるので、このような措置は必要ないと思っていたが、全国的にするならば従う」と話した。

　それによって、保護者の仕事への支障が想定されることから、希望する子どもについては、教職員に学校に来てもらい、預かる方針を決めた。市町村教委に要請し、春休み前まで、すべての小学校で実施したいという。

　仁坂知事は「休校は感染防止の観点では有効だが、マイナス面も多い。保護者が仕事を休んでしまうと、経済活動や市民生活がもっと混乱する。それを防ぐための受け皿が必要だ」とした。万一、事故などが起こった際の責任などは県が持つとした。

　休校による授業の遅れについては「当然心配だが、長期間かけて対応したい」と話し、春休みに補習するなどの対応は今のところ考えないという。

　３月２日に予定していた県立高校の卒業式中止については、仁坂知事は「子どもの気持ちを考えると忍びない」とした。ほとんどの高校が、２月２８日に卒業生に卒業証書を手渡した。小中学校については、市町村に県の対応を説明した上で、それぞれ検討してもらうという。高校入試は安全に配慮した上で、予定通り実施する。