和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年04月23日(水)

田辺で「SEL」研究大会

日本SEL学会主催の研究大会で、パネルディスカッションに登壇したメンバー(和歌山県田辺市新庄町で)
日本SEL学会主催の研究大会で、パネルディスカッションに登壇したメンバー(和歌山県田辺市新庄町で)
 社会性や感情を育む教育「SEL(Social Emotional Learning=ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)」についての研究大会がこのほど、和歌山県田辺市新庄町のビッグ・ユーで開かれた。

 SELとは、興味関心や意欲など心の働きを育むための教育のこと。欧米の教育現場などで広く取り入れられており、日本でも生徒指導に関する教員向けの基本書「生徒指導提要」(2022年12月改訂版)にその考え方が記載されるなど、認識が広まりつつある。

 今回の大会テーマは「SELが創る教育の未来」。日本SEL学会が初めて開き、2日間あった。教育関係者ら約50人が来場したほか、約30人がオンラインで参加した。

 初日にあったパネルディスカッションには日本SEL学会理事の岡本啓史さん、聖心女子大学教授の永田佳之さん、田辺市議会議員の松上京子さんが登壇。「SELの影響力を学ぼう」と題してそれぞれの体験や学びを発表した。

 1988年にバイク事故に遭い、車いす生活になった松上さんは「困難に立ち向かおうと一歩踏み出す力は、さまざまな人との関わりの中で育まれる」と話し、周囲の支えや地域力の大切さを訴えた。岡本さんと永田さんは、アジアやアフリカの教育現場で実践したSELの事例について紹介した。

 パネルディスカッションの後は記念講演や交流会があった。2日目は分科会などが開かれた。