和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月26日(水)

畑のフードロスゼロに 規格外野菜をドライ加工、田辺出身の田之畑さん

ドライ野菜・フルーツの商品開発を進めている田之畑衣里子さん
ドライ野菜・フルーツの商品開発を進めている田之畑衣里子さん
 和歌山県田辺市出身で、兵庫県西宮市在住の会社員、田之畑衣里子さん(34)が、和歌山県産の規格外の野菜や果実をドライ加工した商品の開発を進めている。廃棄されていた農作物を適正価格で買い取り、新たな価値を生むことで畑のフードロス解消を図る。6月の販売開始を目指している。

 2021年の生鮮野菜の青果市場取引は約854トン、3兆円。一方、畑では規格外野菜など約200万トン、70億円相当が廃棄されている。県内でも多くの野菜が廃棄されている。

 そこで着目したのが、ドライ、フリーズドライ野菜市場。ここ10年間で2倍に成長している。災害備蓄や内食需要、さらに健康志向で無添加の国内産需要が急増しているという。

 ドライ野菜・果実は長期保存でき、欲しい分だけ小分けできる利便性もある。商品に独自の強みを持たせるため、「色を食する」を掲げ、彩り良く食物を摂取する商品と位置付けた。

 商品第1弾は白浜町産のケールと紅芯大根、田辺市産のかんきつ「はるみ」。ケールは粉末で食事に緑を加えることができる。紅芯大根はサラダにもそのまま使える。はるみもそのまま食べたり、フルーツティーを楽しんだりとさまざまな用途がある。

 自身が代表の会社「VegeLuno(ベジルノ)」を設立。加工は県内の福祉事業所に依頼する。生産者とのつながりや、販売店の開拓などさまざまな課題はあるが、田之畑さんは大手総合電機メーカーでパソコンのマーケティングを担当しており、「マーケティングの経験を生かしたい」という。

 「幼少期にアトピーに苦しみ、野菜中心の生活をしたことが原点。健康志向の20~50代の女性をターゲットに認知を高めたい。将来的にはカフェ事業や海外向け商品も展開し、大好きな地元和歌山の発展に貢献したい」と話している。

■コンテストで優秀賞

 田之畑さんのビジネスプランは、第10回和歌山ビジネスコンテスト(創業支援セミナーinわかやま実行委員会主催)一般の部で、最優秀賞に次ぐ優秀賞に選ばれた。実行委によると、コンテスト入賞者の約70%がプランの事業化を実現しているという。

 高校生の部では紀南で、Kumanoサポーターズリーダーの蔦原未夢羽さん(熊野1年)、商品開発プロジェクト「神島屋」の生駒咲樹さん(神島3年)が優秀賞に次ぐ優良賞に選ばれた。