和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月23日(日)

開花にばらつき クマノザクラを調査、和歌山県林業試験場調査

試験地で花をつけたクマノザクラ(和歌山県田辺市中辺路町で)
試験地で花をつけたクマノザクラ(和歌山県田辺市中辺路町で)
 和歌山県林業試験場(上富田町)は、クマノザクラに開花が「早い」「遅い」「中間」などの個体差が存在することを突き止めた。開花の期間が長い個体や若くても花の数が多い個体が存在することも分かった。「ソメイヨシノと同時期に花を見たい場合は開花が近い個体を選ぶ」「花を長く楽しむ場合は開花の異なる個体を交ぜて植える」など、多様な観賞ニーズに対応できると注目している。


 試験場ではクマノザクラの保全と活用のため、2019年春から花の大きさや色、形など観賞価値が高いと考えられる優良候補木の調査と収集、増殖に取り組んでいる。増殖は田辺市中辺路町の試験地で行っており、71系統235本を育成している。昨春に50系統118本で花が咲き、成長や開花の特性を調べた。

 開花の始まりが「早い」とされる3月10日までに5系統が咲いた。「やや早い」11~16日に6系統、「中間(普通)」とされる17~22日は16系統だった。23日以降に咲いたのは23系統だった。

■ソメイヨシノと同等  開花平均9・2日

 開花の期間は4~28日間とばらつきがあった。平均はソメイヨシノ(11日)と同等の9・2日だった。着花数は苗木の年齢が高くなるほど多い傾向だったが、若くても花が多い個体も複数あった。

 試験場では開花量と開花時期の経年変化を調べ、続けて個体間の変異の幅を明らかにし、20系統ほどの優良系統を最終選抜する予定。