和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月20日(木)

1千万円超の被害防ぐ 紀陽銀行勝浦支店が特殊詐欺を未然に、和歌山県新宮署が表彰

矢野勝正署長(左)から感謝状を受け取った松窪紀行支店長=13日、和歌山県新宮市新宮で
矢野勝正署長(左)から感謝状を受け取った松窪紀行支店長=13日、和歌山県新宮市新宮で
 特殊詐欺の被害を未然に防止したとして和歌山県警新宮署は13日、紀陽銀行勝浦支店(那智勝浦町築地1丁目)に感謝状を贈った。同署によると、今回、被害に遭っていれば被害額は1千万円を超えていたといい、「銀行は被害を防ぐ最後のとりでだ」と感謝した。

 署によると、2月21日、同支店に高齢女性が来店。窓口で定期預金の解約を申し出たため、職員が解約理由を確認すると、女性は「早くして」などと理由が判然としなかった。その後、携帯電話で「銀行に来たが解約できない」と誰かと相談するような不審な言動があったという。

 そのため、職員は特殊詐欺の被害の可能性があると判断。別室に案内し事情を聴いていると「誰にも言うなと言われている」「家族にも言っては駄目」と話していたことから警察に通報し、被害を防いだ。

 13日、新宮署で感謝状の贈呈式があり、同支店の松窪紀行支店長が出席。当時の女性の様子などを振り返り、「多い時に週に3件ほど特殊詐欺の疑わしい振り込み依頼がある。窓口で理由を聞くと大抵のお客さまは『私のお金だからすぐに処理して』『なぜそこまで答えないと駄目なのか』と言われる」と話した。

 その上で「大事なお金を預かっているので、とことんまで理由を聞くべきだと指示している。徐々に理解を得られるようになってきたと思うが、何とか防ぎたいという思いで声かけをしているので、温かい気持ちで受け答えをしてもらいたい」と語った。

 矢野勝正署長は「客の財産を守るという強い気持ちの表れだと思う。水際で阻止していただくことが最後のとりでだ」と述べ、今後の協力を呼びかけた。

 県警によると、特殊詐欺の認知件数は昨年1年間で136件(前年比36件増)に上り、被害額は約6億3332万円(同約2億7301万円増)だった。最も多かったのは架空料金請求詐欺で80件、次いでおれおれ詐欺27件、預貯金詐欺13件。

 県警は不審な電話やメール、はがきが来た場合は、自分で行動する前に専用電話(0120・508・878)に相談するよう呼びかけている。