２０２４年中の和歌山県内の特殊詐欺とＳＮＳ型投資・ロマンス詐欺の被害総額が約１６億３千万円に上ったことが、県警のまとめで分かった。副業や投資話で関心を誘って金銭をだまし取る手口が急増しており、注意を呼びかけている。


　県警によると、２０２３年ごろからＳＮＳ型詐欺の被害が増えてきたため、２４年１月から特殊詐欺とは別に統計を取っている。

　ＳＮＳ上で信頼関係をつくり、投資に勧誘する「ＳＮＳ型投資詐欺」の被害額は約６億７千万円で、認知件数は８１件。インターネットの広告から詐欺に遭うケースが多かった。恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ＳＮＳ型ロマンス詐欺」の被害額は約３億３千万円で、認知件数は４２件だった。いずれも５０～６０代の被害が目立った。

　ＳＮＳ型詐欺では、振り込みの際にインターネットバンキングを利用するケースが４８件で、約４０％を占めた。送金時に人と接する機会がなく、周囲から詐欺を指摘されにくいことが多い。

　特殊詐欺の認知件数も１３６件（前年比３６件増）と多発した。被害額は約６億３千万円（約２億７千万円増）。手口としては、公共料金の未払いなどを口実とした、架空料金請求詐欺が８０件（１６件増）と最多だった。

　紀南地方でも金融機関や厚生労働省、警察庁などの職員をかたる詐欺が発生している。さまざまな語りで不安をあおり、周囲に相談しにくい状況をつくって金をだまし取られるという。特殊詐欺とＳＮＳ型詐欺の警察署別の認知件数は、田辺署が１９件、白浜署が１４件、新宮署が２件だった。

　県警生活安全企画課によると、金融機関やコンビニエンスストアでの声かけなど、水際で詐欺を防いだケースが１１７件、県警の詐欺被害防止専用の無料相談電話が４３８件だった。「大切な財産を守るために、詐欺に対する意識を高めてほしい。不審に思ったら、迷わず電話をして」と話している。


■刑法犯３年連続増加

　犯罪情勢統計では、２０２４年の刑法犯認知件数は４０６２件（前年比３４件増）で、２２年から３年連続で増加した。

　認知件数のうち、路上強盗や暴行などの「街頭犯罪」が１６８９件（３２件減）で最多だった。殺人や強盗などの「重要犯罪」が７５件（１３件増）、「侵入盗」が２３４件（１９件増）と、いずれも増加した。

　街頭犯罪の中では、自転車盗が６７８件で刑法犯全体の１６・７％を占めた。次いで、万引が５５５件だった。田辺署では、刑法犯認知件数は１９９件（１３件減）、白浜署では１８９件（８２件増）、新宮署では１７６件（１１件減）あり、街頭犯罪では３署とも万引が最も多かった。