和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月13日(木)

町有地売買を問題視 町長、副町長が減給へ、和歌山県上富田町

和歌山県上富田町役場
和歌山県上富田町役場
 和歌山県上富田町の奥田誠町長は10日、昨年、町有地を管理する担当課の職員が町有地(宅地)を購入したことについて、地方自治法には抵触しないとの認識を示す一方、町行政に対する信頼を損なう事態を招いたとして、自身と副町長の給与月額を1カ月、10%減額する方針を示した。

 町議会3月定例会の一般質問で、吉本和広議員(共産)が町の見解を質問したのに答えた。

 町によると、この町有地は同町朝来にあり、町建設課が管理。買い受け人を2023年8月に公募したが、応募がなかった。その後、随時募集での販売とし、同課職員が24年1月に申し込みをし、2月に売買契約を結んだ。他の課へ異動した4月1日に代金を支払い、登記したという。

 地方自治法には「公有財産に関する事務に従事する職員は、その取り扱いにかかる公有財産を譲り受け、または自己の所有物と交換することができない」との規定がある。この問題発覚を受けて、町議会は懇談会で町から説明を受けていた。

 一般質問で、同課は職員が購入を決めた経過について、随時募集でも応募がなく、町有地は急傾斜地崩壊危険区域に入っているなど売却は難しいと判断し、宅地造成事業の累積赤字や単年度黒字継続のため、少しでも足しになればという考えからだったことを説明。一方で担当課は町要綱の把握や地方自治法の確認に至っていなかったという。

 奥田町長は、公有財産の譲り受けについて、単に契約を結ぶことではなく、所有権の移転を伴う財産移転が譲り受けであると考えるとし、職員が異動後に所有権移転、登記をしているので、公有財産の事務に従事しておらず、違法ではないとの認識を示した。

 ただ、担当課在職中の申し込みや契約手続きなどに問題があったということで職員に指導しているが、鑑定価格での売却であり、町に損害が生じているわけではないとも説明した。

 吉本議員は「購入した職員が訓告、他の2人の担当課職員が厳重注意とのことだが、決裁した町長は責任をどう取るのか」とただした。奥田町長は「私自身、管理、監督責任を重く受け止めている」と述べ、町長と副町長の給与を減額する方針を示し、追加議案としてこの定例会に提出するとした。