和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年02月23日(日)

みかんジュース好調 「農福連携」で受託製造、和歌山県みなべの作業所

昨年末に導入したミカンの洗浄機(左奥)と、なかよし作業所が作っているみかんジュース=和歌山県みなべ町芝で
昨年末に導入したミカンの洗浄機(左奥)と、なかよし作業所が作っているみかんジュース=和歌山県みなべ町芝で
 和歌山県みなべ町の障害者就労支援施設「なかよし作業所」がOEM(受託製造)で作っているみかんジュースが好調だ。JAや農家などからの委託で製造する、農業と福祉の連携による取り組みで、年々生産量が増えている。作業所で働く利用者の賃金アップや、やりがいにつながっている。


 なかよし作業所は、同町埴田の「なかよし福祉会」(新家昭煇理事長)が運営している。

 みかんジュースのOEMは、ヤマト福祉財団の助成で搾汁機を導入し、2021年12月に始めた。同町芝にある加工場「みんなの食品ひだまり」で、利用者8人と職員3人で作っている。果実を洗い、搾って裏ごしをし、集めた果汁を冷凍保存。年間を通して、依頼のあった時期に瓶詰めする。瓶のサイズは千グラム、500グラム、180グラムの3種類ある。ミカンをコンテナ10杯分(約200キロ)程度の小ロットから受注しており、JA紀南や、個人でネット通販などをしている農家、ミカンの収穫作業をしている県内の福祉作業所などからの依頼を受けて製造している。

 生産量は年々増加。ジュース製造の委託を受けたミカンの量は、21年度は1・5トンだったが、22年度は9トン、23年度は11トンになった。

 なかよし作業所管理者の畑野幸子さん(49)は「受注者から、自分の育てたミカンがこんなにおいしいジュースになるなんてと、喜ばれている。人気商品でよく売れていると声をかけてもらうこともあり、ジュース製造に携わっている利用者のやりがいにもなっている」と話す。

 24年夏には、ヤマト福祉財団の助成で、搾汁した果汁を裏ごししてパルプなどを取り除くために使う円型振動ふるい機を導入、より喉ごしが良く、質の高いみかんジュースが作れるようになった。11月末には丸紅基金の助成で、ミカンの自動洗浄機を導入。これまで冬場でも一つ一つ手洗いしていたものが自動でできるようになり、効率が良くなり、利用者の働く環境が良くなったという。

 利用者の長瀧博次さん(54)は「洗浄機が導入されて便利になった」と話す。

 同加工場ではみかんジュースのOEMのほかに、ジャム(ミカン、イチジク、レモンなど)のOEMや、独自製品のミニトマトのジュースやケチャップ類、ジャム(キンカン、青梅、スモモ、イチゴなど)を作っている。

 みかんジュースのOEMなど、問い合わせは、平日の午前9時半~午後3時に「みんなの食品ひだまり」(0739・72・5820)へ。