和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月22日(火)

「世の中大変物騒に」 厳しい警備態勢の中、石破首相 和歌山県海南市で演説

衆院選の自民党候補の応援に入った石破茂首相(20日、和歌山県海南市のJR海南駅前で)
衆院選の自民党候補の応援に入った石破茂首相(20日、和歌山県海南市のJR海南駅前で)
 石破茂首相が20日、衆院選(27日投開票)の自民党候補の応援のため和歌山県内入りし、海南市のJR海南駅前で演説した。19日には東京の自民党本部に火炎瓶が投げ込まれ、首相官邸前の防護柵に車が突っ込む事件があったばかり。ここ数年、選挙期間中に元首相や首相を襲う事件が相次いでいることもあり、厳しい警備態勢の中での応援となった。


 石破首相は冒頭、前日の事件に触れた上で「最近、警備がものすごくきつくなってしまった。世の中大変物騒になった。こんなに離れた場所からしゃべるのは好きではなく、皆さま方の中に入って、手を握ってお願いをしたい」と話した。

 昨年も和歌山市に衆院補選の自民党候補の応援に訪れた当時の岸田文雄首相に向けてパイプ爆弾が投げつけられる事件があり、2022年には奈良市で参院選の応援演説をしていた安倍晋三元首相が銃撃され死亡した。

 海南市の会場では演台から聴衆エリアまで十分な距離を取り、聴衆は手荷物検査や金属探知機でのチェックを受けた後入場。警察犬が出動したほか、周囲の建物からも警察官が警戒した。

 石破首相は演説で、近い将来発生が予想される南海トラフ地震に触れ、地震も大雨も完全な予測はできないが、その精度を上げることは可能と指摘。「気象庁の予算はたったの550億。そんなもので国の防災が務まるとは思わない」と予算拡大の必要性を示し「予測できる態勢を格段に引き上げていく」と話した。避難所の環境整備も進め「防災・災害対応世界一の態勢をつくっていかないとならない」と述べた。人口減少対策として、和歌山に若い人がとどまり、結婚できる態勢をつくること、給料アップに向けた取り組みを進めることも必要だとした。

 石破首相は演説を終えると多くの聴衆とあいさつを交わしながら、車に乗り込んだ。

 19、20日にはこのほか、国民民主党の玉木雄一郎代表が和歌山市、立憲民主党の辻元清美代表代行が橋本市などで演説した。

■幹事長も来県

 17日には自民の森山裕幹事長が田辺市上秋津で演説した。自民を離党し、参院からくら替えして無所属で立候補した世耕弘成氏について「自民が苦しい選挙をしている時に、政治家としての配慮があってもよかったのではないか」と述べた。参院議員の任期を残しての出馬にも「任期中務めるのが政治家のあるべき姿。友人であるだけに少し残念」と語った。