和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月22日(火)

広い選挙区 北へ南へ 衆院選和歌山2区、5氏支持訴え、駆ける

候補者の街頭演説に耳を傾ける聴衆(20日、和歌山県上富田町朝来で)
候補者の街頭演説に耳を傾ける聴衆(20日、和歌山県上富田町朝来で)
 27日投開票の衆院選も折り返し。和歌山2区では新顔5氏が舌戦を繰り広げている。選挙区改定で旧3区に旧2区の一部が加わり、27市町村と県面積の9割を占める広大な選挙区を駆け回り、支持を訴えている。選挙戦最後の日曜となった20日は大票田の田辺市をはじめ、橋本市から新宮市まで各地で政策を訴える声が響いた。

 共産新顔の楠本文郎氏(70)は自民党の政治資金問題を強く批判。「全国的な注目区。『裏金は許さない』という意思表示をしてほしい」と訴えている。消費税の将来的な廃止、最低賃金の時給1500円以上への引き上げも掲げている。

 楠本氏は「反応は日に日に良くなっている。選挙区は広くなったが、旧2区でも普段から共産党を支えてくれている人たちのおかげで熱心な応援を頂いている」と話している。

 立憲民主新顔の新古祐子氏(52)は「和歌山を変えたい。変わらないといけない時期に来ている」と訴え、第1次産業に付加価値を付ける6次産業化や防災対策のソフト面の充実、女性支援などの政策を打ち出している。

 陣営では「保守の二大勢力に対し、厳しい戦い。だが旧2区では一定の立憲支持が生まれている。初めての戦いとなる旧3区でもここから支持を広げていきたい」と話している。

 自民新顔の二階伸康氏(46)は「この国の形を変える。一極集中を止め、地方に活力を取り戻す」と強調し、世界から人を呼び込む観光振興や防災力を高める半島強靱化(きょうじんか)などの政策を訴えている。

 陣営は「世襲と言われるが、旧2区は父の俊博氏も戦ったことがない。『二階』と書いたことのないエリアで、浸透はまだまだ」と話す。伸康氏も「とにかく足を運び、住民の声を聞きたい」と後半戦に臨む。

 諸派新顔の高橋秀彰氏(42)は自公政権を批判し、食料自給率のアップや自然環境を壊さないエネルギー政策などを訴えている。

 高橋氏は「出馬表明が公示直前で、知名度を高める必要がある。SNSを通じ、主張に共感してくれた団体と連携が広がっている。エールを送ってくれる有権者も増え、街頭演説に駆け付けてくれる人もいる。発信を続け、各地の小さな支持をつないで広げたい」と話している。

 無所属新顔の世耕弘成氏(61)は「製造業、農林水産業、観光産業で質の高い雇用を生み出し、人口減を食い止める」と主張。政策実現についても、内閣官房副長官や経済産業相、参議院自民党幹事長など政権中枢での実績を強調し、即戦力をアピールしている。

 参院選は全県が選挙区で、世耕氏を支援する地方議員は「参院時代に重ねてきたミニ集会が各地で浸透している。山間部でも支持を感じる」と話している。

 各候補は広い選挙区をカバーし、若年層への浸透を図るため、SNS動画による発信にも力を入れている。