職員急死で遺族が市を提訴 和歌山県田辺市
和歌山県田辺市の危機管理局長だった中野典昭さん(当時57)が2018年の台風災害対応の直後に急死した件を巡り、遺族が25日、市を相手に約7150万円の損害賠償を求めて、和歌山地方裁判所に提訴した。遺族側は、安全配慮義務を怠り、精神的緊張度の高い業務を33時間半にわたって従事させた責任を、市に問いたいとしている。
訴状などによると、中野さんは台風20号接近に伴い、8月23日朝から24日夕方まで、ほとんど休憩を取らずに災害対応に当たった。25日に自宅で倒れ、救急搬送されたが26日朝に脳出血で死亡した。中野さんの死亡は、20年6月に公務災害に認定されている。
これについて、遺族側は、中野さんに高血圧などの基礎疾患があったことなどから、市には過重負荷が生じないよう、勤務時間などについて高度な安全配慮義務があったのに、それを怠ったと主張している。
遺族側は今年7月、市に対し、そのことを指摘したが「安全配慮義務を怠っておらず、法的責任を負うものではないと考えている」という趣旨の回答が文書であったことから、提訴に踏み切ったという。
和歌山市で記者会見した妻(64)は「高血圧という持病がありながら、緊張のある災害の中で、健康を考えずに仕事に従事させた責任を(市に)認めてほしい。夫のような悲しいことが二度と起こらないようにしてほしい」と訴えた。
代理人の松丸正弁護士は「地方公務員は市民の安全のために災害対応に当たっているが、職員の健康や命はないがしろにされていいのか」と強調。「災害対応など緊急に生じる業務に備え、事前の態勢をつくっておかないと、同じようなことが起きる。どこの自治体にも求められる」と話した。
提訴を受け、田辺市は「現時点では市に訴状が届いていないので、コメントは差し控えさせていただきます」とする真砂充敏市長のコメントを出した。
◇
この件を巡っては、市が遺族からの申し入れを受け、弁護士らでつくる「第三者調査委員会」を設置。今年1月、当時の事実経過や市の災害対応などを検証した報告書が提出された。
報告書では、避難情報を発令する場合の判断権者が曖昧であるなど、市の組織上の問題点が中野さんへの負荷を強めた可能性があると指摘した上で、「個々の職員の働き方」「危機管理局の業務」「市の防災体制」の三つに分けて再発防止策が提言された。
これを受け、市は3月に改善計画を作成。長時間連続勤務の制限や災害対応時における交代制の構築など、見直しを進めているという。
訴状などによると、中野さんは台風20号接近に伴い、8月23日朝から24日夕方まで、ほとんど休憩を取らずに災害対応に当たった。25日に自宅で倒れ、救急搬送されたが26日朝に脳出血で死亡した。中野さんの死亡は、20年6月に公務災害に認定されている。
これについて、遺族側は、中野さんに高血圧などの基礎疾患があったことなどから、市には過重負荷が生じないよう、勤務時間などについて高度な安全配慮義務があったのに、それを怠ったと主張している。
遺族側は今年7月、市に対し、そのことを指摘したが「安全配慮義務を怠っておらず、法的責任を負うものではないと考えている」という趣旨の回答が文書であったことから、提訴に踏み切ったという。
和歌山市で記者会見した妻(64)は「高血圧という持病がありながら、緊張のある災害の中で、健康を考えずに仕事に従事させた責任を(市に)認めてほしい。夫のような悲しいことが二度と起こらないようにしてほしい」と訴えた。
代理人の松丸正弁護士は「地方公務員は市民の安全のために災害対応に当たっているが、職員の健康や命はないがしろにされていいのか」と強調。「災害対応など緊急に生じる業務に備え、事前の態勢をつくっておかないと、同じようなことが起きる。どこの自治体にも求められる」と話した。
提訴を受け、田辺市は「現時点では市に訴状が届いていないので、コメントは差し控えさせていただきます」とする真砂充敏市長のコメントを出した。
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この件を巡っては、市が遺族からの申し入れを受け、弁護士らでつくる「第三者調査委員会」を設置。今年1月、当時の事実経過や市の災害対応などを検証した報告書が提出された。
報告書では、避難情報を発令する場合の判断権者が曖昧であるなど、市の組織上の問題点が中野さんへの負荷を強めた可能性があると指摘した上で、「個々の職員の働き方」「危機管理局の業務」「市の防災体制」の三つに分けて再発防止策が提言された。
これを受け、市は3月に改善計画を作成。長時間連続勤務の制限や災害対応時における交代制の構築など、見直しを進めているという。