和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

「玄関口」で田辺の魅力案内 世界遺産20周年、駅に写真パネルや彫刻、和歌山

最優秀賞の「天神崎」を紹介する撮影者の森侑貴惠さん(右)とその家族=13日、和歌山県田辺市湊で
最優秀賞の「天神崎」を紹介する撮影者の森侑貴惠さん(右)とその家族=13日、和歌山県田辺市湊で
紀伊田辺駅に設置した、迫力ある「龍」の彫刻(12日、和歌山県田辺市湊で)
紀伊田辺駅に設置した、迫力ある「龍」の彫刻(12日、和歌山県田辺市湊で)
 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録20周年を記念し、JR紀伊田辺駅(和歌山県田辺市湊)に田辺市の魅力を伝える写真パネルや「龍」の彫刻が登場した。「玄関口」で市内の名所や熊野古道へ観光客を誘う。

■田辺のええとこ紹介 フォトコン優秀作を展示

 「田辺のええとこ」をテーマにしたフォトコンテストの優秀8作品の掲示が13日、駅ホームをつなぐ渡線橋内で始まった。海や山がつくる田辺らしい風景が季節、地域を超えて並んでいる。

 フォトコンは、市と市熊野ツーリズムビューロー、JR西日本が企画した。市の魅力が伝わり、現地に行きたくなる写真を今年2~5月にインスタグラムで募集し、728点の応募があった。

 この日、優秀作品の大型パネルの除幕式があり、真砂充敏市長、ビューローの多田稔子会長、JR西日本の富澤五月和歌山支社長、市内5観光協会の会長らが出席した。

 最優秀賞は上富田町の助産師、森侑貴惠さん(35)の「天神崎」。引き潮時、水面に上の光景が映り、上下対称となる絶景が人気のスポットで、晴天の2月に家族で訪れ、夫が長女を「高い高い」する姿を撮影した。

 森さんは「写真を撮るようになったきっかけが天神崎で、7年近く通っている。大きなパネルになって多くの人に見てもらえるのはうれしい。今回は青空を狙ったが、朝日や夕日、夜の星空の下でもすてきで、いろいろな時間、季節に何度も訪れてほしい」と話した。

 真砂市長は「いい所が多過ぎて、『田辺で一番好きなスポットはどこですか』と聞かれるのが一番つらかったが、これからは駅に行ってみてと言える」と笑った。8作品はポスターにして、京阪神の主要駅にも掲示する。

■チェーンソーで「龍」彫刻 辰年と龍神村をアピール

 樹齢200年ほどのスギを素材に作った「龍」の彫刻が12日、駅構内のコンコースに設置された。田辺市龍神村の魅力や12年に1度の辰(たつ)年キャンペーンを紹介するパネルとともに、来年1月上旬まで展示する予定。

 紀伊田辺駅が駅近郊だけでなく、市全体をアピールしたいという思いから、龍神観光協会を通じてチェーンソーアート元世界チャンピオン、城所ケイジさん(57)=龍神村柳瀬=に彫刻の制作を依頼した。

 作品の名前は「龍辰(りゅうたつ)像」。高さ1・5メートルで、紀州材のスギの丸太からチェーンソーなどを使って削り出した。城所さんは「龍を身近に感じてもらえるような作品。紀伊田辺駅を訪れた多くの人に、大木の存在感を感じてもらえたら」と話している。

 下村明副駅長(42)は「インバウンド(訪日客)など、いろんな人の目に触れる機会が多いのが鉄道の強み。今後もより地域との連携を広げ、龍神村だけでなく各地の魅力を知ってもらえる取り組みを続けていきたい」と語った。