和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月31日(火)

万博に子どもたちを 6万7千人対象、和歌山県が企画、費用補助

建設が進む関西パビリオンの内部(5月下旬、大阪市で)
建設が進む関西パビリオンの内部(5月下旬、大阪市で)
 和歌山県は、来年4月に開幕する大阪・関西万博に、多くの小中学生に来場してもらおうと支援事業を企画している。同様の事業を予定する他府県で、さまざまな意見が挙がっていることもあり、担当課は「強制ではない」としながらも「できるだけ多くの子どもに体感してもらいたい」としている。


 対象は私立や国立を含む小学生、中学生と、特別支援学校の小学部、中学部の児童生徒計約6万7千人。学校単位で、県が約1億8千万円を負担し、バス代の一部やチケット代などを補助する。

 県は20日と7月2日、学校や市町村教委関係者を対象に、オンラインで説明会を開く。その上で、参加するかどうかの意向について聞き取りし、9月ごろに取りまとめ、手続きに移る。取りまとめ後に、追加で希望する学校があれば、相談に応じる予定。

 一方、同様の事業を予定している府県では一部に混乱がみられる。

 大阪府では、3月にあった工事現場の爆発事故に関して学校への説明が不十分などとして、教職員組合が子どもの招待事業中止を要請。下見の時期や交通手段が分からないことも不安視している。さらに意向調査のやり方について、参加を強要しているとして反発する市も出ている。

 県の担当者は「子どもたちに未来の技術に触れてもらったり、感性を養ってもらったりといった意義があるが、さまざまな意見もあると思う。丁寧に情報提供や説明をするので、その上で判断していただければうれしい」と話している。

 大阪・関西万博は、2025年4月13日~10月13日の184日間ある。県は、近畿と周辺の計9府県(大阪府を除く)で「関西パビリオン」を共同出展する。和歌山の展示テーマは「和歌山百景―霊性の大地」。高さ4メートルのタワー型モニター「トーテム」を環状に並べ、自然風景や神話、歴史にちなんだ映像を流したり、伝統芸能などのパフォーマンスを披露したりする予定。

■県民総参加呼びかけ 岸本知事

 岸本周平知事は19日の県議会一般質問で「万博の開催は大きなチャンス」と話し、多くの県民の参加を呼びかけた。

 県が出展する「和歌山ゾーン」が入る関西パビリオン建設は順調に進んでいると説明。「県民総参加の万博にしたい。ぜひ、和歌山ゾーンに多くの県民の皆さまの参加をよろしくお願い申し上げる」と述べた。

 また、万博への関心について、国民レベルで高まっていないとした上で「県民全体に期待感があるのかについては、これからだろう」といい、機運醸成に力を入れる考えを示した。