和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月16日(月)

白浜-羽田の定期便が好調 首都圏企業へのアプローチが奏功

利用が好調な南紀白浜―羽田を結ぶ日本航空定期便(和歌山県白浜町で)
利用が好調な南紀白浜―羽田を結ぶ日本航空定期便(和歌山県白浜町で)
南紀白浜―羽田 定期便の利用者
南紀白浜―羽田 定期便の利用者
 南紀白浜空港(和歌山県白浜町)と羽田空港(東京)を結ぶ日本航空定期便の利用が好調だ。4月に白浜空港の運営を始めた南紀白浜エアポートは「1年目の実績としては上出来だが、さらに伸ばしたい」と意欲を語る。来年以降もビジネス需要をつかみつつ、地元からの利用も促したいという。

 日航定期便の利用者数は、11月の1カ月で1万8871人を記録。便数が違うため単純比較はできないが、2000年以降の月別で02年8月(1万7910人)の記録を上回り、過去最高となった。同じ月ごとの比較でも、今年は1~11月のうち5、8、10月を除く8カ月で記録を更新しており、年度ごとの集計では過去最高だった18年度の16万1570人を抜く勢いだ。

 エアポート社によると、ビジネスパーソンの利用が増えている。串本町でのロケット発射場建設や、仕事と休暇を組み合わせた「ワーケーション」の場として白浜町など紀南が適していると首都圏の企業へPRしていることなどが奏功しているとみられる。

 エアポート社では、来年の東京五輪・パラリンピックも「商機」と捉えている。開催に伴って首都圏の交通機関の混雑が予想され、ワーケーションやリモートワーク(遠隔勤務)が推奨されているためだ。「紀南なら快適に働けるとPRし、需要をつかみたい」という。

■ 鍵は「地元利用」

 岡田信一郎社長は、運営1年目を振り返り、定期便の機材の一部大型化が実現するなど「思った以上の結果が出ているが、まだまだ」と評価。1日2往復している大型機材の利用者をさらに増やしたいという。「それが実現できれば『全3往復での機材大型化』や『4往復目』という話も(日航に対して)できるようになるし、他の航空会社が白浜空港に興味を持ってくれるようにもなるはず」との展望を示す。

 課題は「地元の人たちにいかに定期便を使ってもらうかが鍵になる」と指摘。予約の時期によっては料金がかなり下がるという価格面を浸透させたいという。

 エアポート社は、NECや町内事業所と連携して顔認証サービスの実証実験に取り組んだり、空港に高速バスの停留所を設けたりするなど、地域活性化に関連することにも積極的に関わってきた。新しい取り組みを次々と打ち出すこと自体が人を呼び込むきっかけにもなっており、岡田社長は「旅客数の伸びは地域活性化の先行指標になる。紀南に良い風が吹いているということが地元の希望につながれば」と話している。