和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

新しい「切目辻」トンネル完成 国道424号みなべと龍神の境界に、和歌山

新しい切目辻トンネルの整備区間
新しい切目辻トンネルの整備区間
完成した新しい切目辻トンネル(和歌山県みなべ町清川で)
完成した新しい切目辻トンネル(和歌山県みなべ町清川で)
 和歌山県みなべ町清川と田辺市龍神村福井の境界で、国道424号の新しい切目辻トンネルが完成し、28日午後3時から通れるようになった。周辺地域にとって観光振興や防災面で念願の開通となり、住民らは喜んでいる。

 国道424号は、海岸部を通る高速道路と内陸部をつなぐ主要幹線道路で、そのうち龍神村とみなべ町の区間について県は、観光バスが対向できる幅員で全線を通す「川筋ネットワーク道路」に位置付けている。切目辻トンネルを含む約1・2キロ区間と、そこから福井の国道425号までの未改良の箇所で改良が進んでおり、今回、トンネルの区間がほぼ完了した。

 旧の切目辻トンネルは、素掘りで1963年に開通した。延長419・7メートル、幅員5・5メートルで、車両同士のすれ違いが困難だった。新しいトンネルは西側でショートカットする形で計画。2018年度に事業に着手し、20年度に清川側から取り付け道路の工事を始めた。22年度にトンネルを掘削し、同年度から23年度にかけて内部の工事や照明設備、両側の取り付け道路の工事が進められた。同年度8月には高城中学校(みなべ町滝)と龍神中学校(田辺市龍神村安井)の生徒らが揮毫(きごう)した銘板が両側の出入り口に取り付けられた。

 完成したトンネルは延長829メートル、幅員6・5メートルで、大型車の対向もスムーズにできる。

 整備を計画する1・2キロ区間のうち、清川側の道路の約160メートルはまだ工事が続いており、早期完了を目指す。総事業費は約44億円の見込み。

 県日高振興局建設部と西牟婁振興局建設部は「切目辻トンネルは、車両同士のすれ違いが困難だったが、改良によって安全で快適な通行が確保され、地域間交通や日常生活の利便性が向上するだけでなく、災害時の緊急輸送の強化にも寄与できる」としている。旧のトンネルは新トンネルが開通した後も通ることができるが、将来的には通れなくなるという。

 トンネル区間以外では、福井の国道425号から清川方面約1・7キロ区間でも21年度から事業に取りかかり、23年度に着工している。

 清川の軽井川区の山崎学区長(65)は「旧のトンネルは古くて狭く、通るのが怖かった。観光はもちろん、通勤で利用する人が多いので、開通はうれしい。地域間の交流が深まることを期待したい」、龍神村自治会連合会の吉本哲紀会長(72)は「この道は観光や産業だけでなく、災害時の緊急輸送路として重要なので、開通はありがたい。今後、残りの狭い区間についても早急な改良を願いたい」と話していた。