和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

【詳報・動画あり】いよいよ3月9日打ち上げ! 和歌山・串本のロケット発射場

ロケット打ち上げのイメージ(スペースワン社提供)
ロケット打ち上げのイメージ(スペースワン社提供)
和歌山県串本町のロケットを巡るスペースワンの主な動き
和歌山県串本町のロケットを巡るスペースワンの主な動き
 和歌山県串本町田原にある国内初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」を運営するスペースワン(東京都)は26日、ロケット「カイロス」(全長約18メートル)の初号機発射について、3月9日午前11時~正午ごろの打ち上げを目指すと発表した。天候やロケットの整備状況などを考慮し、3月末までを予備期間としている。

 下宏副知事を会長、串本町と那智勝浦町の両町長を副会長とする「スペースポート紀伊周辺地域協議会」の臨時総会が26日、串本町内のホテルであり、スペースワンの遠藤守取締役が明らかにした。

 同社は当初、2021年度中に初号機の発射を予定していたが、新型コロナウイルスや世界情勢の影響で、発射に必要な部品の調達が遅れていることなどから、打ち上げを計4回延期していた。遠藤取締役は「スペースポート紀伊の建設を発表してからこれまで、地元の皆さんにご支援を頂いた。感謝の意も込めて打ち上げを成功させるべく、一丸となって準備を進めていく」と話した。

 初号機には内閣衛星情報センターの小型衛星を搭載する。同センターによると、情報収集衛星に不測の事態が発生したときに、代替することが目的という。

 協議会事務局の県産業技術政策課から報告もあった。見学場となる田原海水浴場(串本町田原)と旧浦神小学校(那智勝浦町浦神)の入場チケットは「カイロスロケット初号機打ち上げ応援サイト」で、29日午後から購入できる。

 また、現地の混雑や交通渋滞の緩和策として、大阪や三重方面の道の駅、サービスエリアなど計5カ所に公式サテライト会場を設ける。大型モニターで打ち上げの様子を放映したり、県の物産やロケット関連の商品を販売したりする。その他にも会場を設置できないか交渉しているという。

 会議後、串本町の田嶋勝正町長は「この射場建設の話を町に頂いて足かけ9年になる。待ちに待った。正直4回延びたことで、町民の皆さん方から『もう飛ばないのではないか』という声まで頂いていたが、今日はそれが全て払拭された。技術的なことに関しては全てスペースワンさんにお任せするが、われわれは交通渋滞で、串本に来られた皆さんにご迷惑を掛けることのないよう、万全の態勢で取り組んでいきたい」と述べた。

 那智勝浦町の堀順一郎町長も「本当にやっとで、ほっとしたし、うれしい。日程は決まったが、なかなか準備が整っておらず、時間もない中で、お越しいただいた方に喜んでいただける受け入れ態勢をつくっていきたい。ロケットの愛好家の方々にたくさんお越しいただくことを期待しており、登録20周年の世界遺産やマグロ、温泉といった町の魅力を伝えてリピーターとなっていただけるような取り組みを進めていきたい」と話した。