和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月02日(木)

広島の伝統工芸「熊野筆」奉納 和歌山の世界遺産・本宮大社へ、年末の「一文字」に使う

熊野本宮大社に熊野大筆を奉納した熊野筆事業協同組合の竹森臣理事長(左)と受け取った九鬼家隆宮司=和歌山県田辺市本宮町で
熊野本宮大社に熊野大筆を奉納した熊野筆事業協同組合の竹森臣理事長(左)と受け取った九鬼家隆宮司=和歌山県田辺市本宮町で
 広島県熊野町の伝統工芸品「熊野筆」の製造・販売に取り組む事業者でつくる熊野筆事業協同組合(竹森臣理事長)が、和歌山県田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社に長さ50センチほどの「熊野大筆」を奉納した。熊野町にある広島県立熊野高校と上富田町にある熊野高校が昨年、創立100周年を記念して姉妹校提携を結んだことがきっかけ。本宮大社の九鬼家隆宮司(66)は「年末の一文字に活用させていただきたい」と喜んだ。

 組合によると、熊野筆は毛筆や画筆、化粧筆のいずれも全国一の生産量を誇っており、国の伝統的工芸品に指定されている。

 今回の奉納は、昨年11月に開かれた熊野高校の創立100周年記念式典であった両校の姉妹校提携の調印式に九鬼宮司が立ち会ったことがきっかけ。九鬼宮司が広島・熊野高校の坂本伸宏校長(59)に、本宮大社では毎年、年末に来年への願いを込めた一文字を書いており、有名な熊野筆を使いたいという思いがあることを話したところ、坂本校長が関係者を通じて組合に相談。今回の奉納につながった。

 奉納された熊野大筆は組合に所属する實森得応・伝統工芸士が制作したもので、筆の穂には馬のたてがみが使われているという。

 大社拝殿で関係者が出席した熊野大筆奉献寄贈奉告祭があり、熊野筆を受け取った九鬼宮司が「私にとっては夢であり、世界の平和を願って一文字を納めることができれば」と感謝。竹森理事長(66)も「皆さんから『熊野』という言葉をよく聞かせていただき、訪れて親しみを感じた。この縁を大事に親戚づきあいをさせてもらえたら」と話していた。

■両「熊野高」野球部が試合

 6日には上富田町朝来の熊野高校で、姉妹校提携記念として初めて両校野球部が交流試合をした。上富田町の熊野高が7―8で敗れたが、式典や記念品贈呈などをして交流した。