和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月06日(水)

「相続した土地手放したい」 国庫帰属制度で相談増、和歌山

 相続した土地の所有権を手放し、国に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」が4月から始まり、和歌山地方法務局には6月末時点で150件を超える相談が寄せられている。制度は、所有者不明土地問題の解消が狙い。来年4月からは、相続登記の申請義務化も始まる。

 所有者が分からず放置されている土地は災害時の復旧時に支障を来したり、近隣の迷惑になったりする。

 一方で、相続した土地について「遠くに住んでいて利用する予定がない」「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど負担が大きい」といった理由で、土地を手放したいというニーズが高まっている。

 帰属の承認申請ができるのは、相続か相続人に対する遺贈で土地を取得した人。ただし、建物がある土地をはじめ、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地など、国が引き取ることができない土地の要件もある。

 申請は、帰属の承認申請をする土地がある都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門で受け付ける。申請・相談は支局や出張所では受け付けていない。

 和歌山地方法務局によると、制度の利用に関して、2月22日から相談を受け付けており、6月末時点で全国で1万件以上、同法務局で150件の相談が寄せられた。また、申請は4月27日以降受け付け、6月末時点で全国で約600件あった。同法務局でも宅地や田畑、山林などに関して全国平均を超える件数の申請があるという。

 来年4月からは、相続登記の申請が義務化される。相続によって不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけない。正当な理由がなく申請をしなかった場合には罰則もある。