和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月23日(土)

移住定住に新たな支援 和歌山県の空き家バンク利用でみなべ町

インターネットサイト「わかやま空き家バンク」のみなべ町内の物件を紹介する画面
インターネットサイト「わかやま空き家バンク」のみなべ町内の物件を紹介する画面
 和歌山県みなべ町は本年度、町内への移住や定住を促進するため、空き家の利用に対し新たな支援をする。住宅の新築とともに、空き家の改修や家財の片付けへの支援は昨年度から始めており、町は「支援を充実させることで人を増やし、町を活気づけたい」と力を込める。


 新たな支援は、空き家を紹介する県のインターネットサイト「わかやま空き家バンク」を利用して移住した人に助成金、空き家を売ったり貸したりした人に奨励金を出すもので、町の独自施策。

 移住者への助成は、同バンクの利用登録者▽町内への移住から1年を経過していない▽同バンクを介して売買契約か賃貸借契約を結んだ▽契約の当事者が3親等以内の親族でない―人が対象で、助成金は30万円。

 空き家提供者への奨励も、同バンクの登録者▽同バンクを介して売買契約か賃貸借契約を結んだ▽契約の当事者が3親等以内の親族でない―人が対象で、奨励金は10万円。

 町は2019年度から、わかやま空き家バンクを通じて情報発信するようになった。空き家提供の新規登録件数は、同年度は3件で、20年度はなく、21年度は5件、22年度は6件と、少しずつ増えてはいるが低調。6日現在の登録件数は8件にとどまっている(県全体では207件)。また売却や賃貸が決まったのも、19年度に賃貸2件、21年度に賃貸1件と少ないのが現状だ。

 町産業課は「まずは空き家提供の登録件数を増やす必要がある。選択肢を増やすことで、移住が促進できるかと思う。家は住まなくなれば、危険家屋になってしまう。家主にとってもメリットはある」と話す。

 この支援は県内でも珍しく、効果を期待したいという。町は本年度の一般会計予算に、移住者への助成は5件分の150万円、空き家提供者への奨励は5件分の50万円を盛り込んでいる。


■新築への支援が好評

 一方、昨年度から始めた住宅の新築への支援事業は好評だ。

 18~39歳の人(夫婦であればどちらかだけでも構わない)か中学生以下の子どもを扶養する人が対象で、町内に住宅を新築すれば100万円を補助する町独自の事業。昨年度に25件の申請があり、内訳は町内の世帯が18件、町外が7件(うち県外1件)だった。町産業課は「思ったより多かった。町外への流出を防ぎ、新たに人を呼び込むという効果がある程度あったのではないかと思う」という。

 空き家の改修や家財片付けへの支援は、県の支援事業を補う形で始めたが、売却や賃貸が決まらず、対象者はなかった。

 いずれの支援も本年度も実施する。今後も移住者や若者らのニーズを聞きながら、移住や定住につながる事業を検討したいという。

 助成金や奨励金の申請などの問い合わせは町産業課(0739・72・1337)へ。