親の唾液がアレルギー抑制か 乳幼児期に接触した子、学齢期の発症リスク減
県立医科大学(和歌山市)などは24日、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患について、生後12カ月未満の乳幼児期に親の唾液に接触していた子どもの方が、学齢期(6~15歳)の発症リスクが抑えられる可能性があることが分かったと発表した。子どものアレルギー疾患が増加する中、効果的な予防法開発につながる重要な結果としている。
県立医大、兵庫医科大学、獨協医科大学、高槻赤十字病院の共同研究。県立医大の久保良美博士研究員(皮膚科学)、兵庫医大の金澤伸雄主任教授(同)らのほか、オンラインで獨協医大の吉原重美主任教授(小児科)が発表した。
アレルギーがある人はこれまで、2人に1人といわれていたが昨年、3人に2人という調査結果がある。また、幼少期に湿疹などで皮膚バリアー機能が壊れた時の食べこぼしにより食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を発症し、次々と他のアレルギーを発症する「アレルギーマーチ」が起こるとされる。花粉症から野菜・果物アレルギーに進みやすいともされ、花粉症の増加でそういった人が増えているという調査もあることから、アレルギー疾患予防が急務という。
先行研究として、スウェーデンでは2013年、親が口に含んで、唾液で洗浄したおしゃぶりを与えた乳幼児のアレルギー発症リスクが低くなるという結果が発表されている。しかし、学齢期の研究はほとんどなかった。
今回の調査では、石川県加賀市と栃木県栃木市の小中学生の保護者にアンケートし、3380人から回答を得た。このうち、乳幼児期に唾液洗浄したおしゃぶりを与えたのは76人で、スプーンなど食器を共用していたのは336人だった。
■鼻炎、アトピー大幅減 口内洗浄のおしゃぶり
分析の結果、唾液洗浄のおしゃぶりを与えられていた子どもの場合、それをされなかった子どもに比べ、アトピー性皮膚炎を発症するリスクは65%、アレルギー性鼻炎は67%、それぞれ低下。ぜんそくも明確な関係性は見られなかったが、リスク低下の可能性を推測できるとした。また、食器共用の場合はアトピー性皮膚炎の発症リスクを48%抑えられたことが分かった。
おしゃぶりは生後6カ月まで、食器はそれ以降の使用が多いことから、早いタイミングで親の唾液と接触する方が、より効果が高いと考えられるという。
一方で、親の唾液によって、虫歯につながる菌の感染リスクがあるとされることについては、初感染時期が生後19カ月から31カ月の間に集中しているといい、唾液接触の時期が重要だとした。
久保博士研究員は「乳幼児期に多くの種類の菌を入れることで免疫システムが成立する。唾液による免疫刺激はいい効果をもたらせているのではないか」といい、親子の口腔内細菌などについてさらに研究を進めたいとした。
県立医大、兵庫医科大学、獨協医科大学、高槻赤十字病院の共同研究。県立医大の久保良美博士研究員(皮膚科学)、兵庫医大の金澤伸雄主任教授(同)らのほか、オンラインで獨協医大の吉原重美主任教授(小児科)が発表した。
アレルギーがある人はこれまで、2人に1人といわれていたが昨年、3人に2人という調査結果がある。また、幼少期に湿疹などで皮膚バリアー機能が壊れた時の食べこぼしにより食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を発症し、次々と他のアレルギーを発症する「アレルギーマーチ」が起こるとされる。花粉症から野菜・果物アレルギーに進みやすいともされ、花粉症の増加でそういった人が増えているという調査もあることから、アレルギー疾患予防が急務という。
先行研究として、スウェーデンでは2013年、親が口に含んで、唾液で洗浄したおしゃぶりを与えた乳幼児のアレルギー発症リスクが低くなるという結果が発表されている。しかし、学齢期の研究はほとんどなかった。
今回の調査では、石川県加賀市と栃木県栃木市の小中学生の保護者にアンケートし、3380人から回答を得た。このうち、乳幼児期に唾液洗浄したおしゃぶりを与えたのは76人で、スプーンなど食器を共用していたのは336人だった。
■鼻炎、アトピー大幅減 口内洗浄のおしゃぶり
分析の結果、唾液洗浄のおしゃぶりを与えられていた子どもの場合、それをされなかった子どもに比べ、アトピー性皮膚炎を発症するリスクは65%、アレルギー性鼻炎は67%、それぞれ低下。ぜんそくも明確な関係性は見られなかったが、リスク低下の可能性を推測できるとした。また、食器共用の場合はアトピー性皮膚炎の発症リスクを48%抑えられたことが分かった。
おしゃぶりは生後6カ月まで、食器はそれ以降の使用が多いことから、早いタイミングで親の唾液と接触する方が、より効果が高いと考えられるという。
一方で、親の唾液によって、虫歯につながる菌の感染リスクがあるとされることについては、初感染時期が生後19カ月から31カ月の間に集中しているといい、唾液接触の時期が重要だとした。
久保博士研究員は「乳幼児期に多くの種類の菌を入れることで免疫システムが成立する。唾液による免疫刺激はいい効果をもたらせているのではないか」といい、親子の口腔内細菌などについてさらに研究を進めたいとした。