和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

幻のミカン、串本町でジュースに 「佐藤春夫命名」の春光柑

希少な春光柑を使ったジュース「しゅんかちゃん」(和歌山県串本町くじの川で)
希少な春光柑を使ったジュース「しゅんかちゃん」(和歌山県串本町くじの川で)
 和歌山県串本町の樫野地区で収穫された希少なミカン「春光柑(しゅんこうかん)」をジュースにした新商品「しゅんかちゃん」の販売が町内で始まっている。商品を開発した青木寛さん(54)=串本町串本=は「春光柑のジュースはあまりない。爽やかな味なので手に取ってみてほしい」と呼びかけている。

 樫野地区のかんきつ農家を応援するプロジェクトの一環。約2年前、同地区にあったJA紀南のキンカン加工場が閉鎖したことを知った青木さんが始めた。これまでにキンカンのピューレやジュースを販売し、利益の一部を後継者不足の解消や農地の維持など、産地を守る事業に活用している。

 「しゅんかちゃん」は、昨年4月から販売しているキンカンジュース「きんかちゃん」の〝次女〟にあたる商品。原料となる春光柑は、紀南や三重県内で栽培されている。新宮市出身の作家、佐藤春夫が命名したといわれている。青木さんによると、樫野地区では1戸が栽培しているという。

 ジュースは、古座川町平井の農事組合法人「古座川ゆず平井の里」に協力してもらって製造。ラベルは青木さんの知人の田中陽一さん=串本町串本=が手がけた。樫野にある雷公(なるかみ)神社の例祭でのいでたちをイメージし、浴衣を着て獅子舞を持った少女をデザインした。

 内容量は160ミリリットルで、250円。カフェ・ラパン(串本町樫野)やビーチハウス・ラパン(同町くじの川)、南紀串本観光協会(同町串本)で販売している。

 青木さんはすでに〝三女〟となるジュースの開発にも着手しており、「3姉妹」がそろったときには、ふるさと産品として利用してもらえないかと考えているという。

 問い合わせは青木さん(090・3356・8305)へ。