和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

5類移行で地域活動再開へ 感染の波越え保健所、和歌山

通常体制に戻りつつある田辺保健所(和歌山県田辺市朝日ケ丘で)
通常体制に戻りつつある田辺保健所(和歌山県田辺市朝日ケ丘で)
 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが8日から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」になった。田辺保健所(和歌山県田辺市朝日ケ丘)の業務も通常に戻りつつある。コロナ下では、積極的疫学調査や検体採取など多忙を極めた。感染の波を越え、地域活動を再開しようとしている。


 通常、田辺保健所の感染症対策の担当は7、8人。コロナ下では保健所の約60人を総動員し、西牟婁振興局内のほかの部署、周辺市町、医療機関などの応援を加え、70~80人体制で臨んだ。それでもピーク時は保健所職員の2割以上が、過労死ラインといわれる月100時間超の残業をしていた。

 管内(田辺市とみなべ、白浜、上富田、すさみの4町)の新規感染者のピークは2022年8月中旬で、1日300人を超えた。積極的疫学調査では、感染者の行動歴や人との接触状況を1時間ほどかけてたどる。当時は対象を重症化リスクのある人に限定していたが、それでもその日のうちに終わらないこともあった。

 保健所前の駐車場は、検体採取場となっていた。車内にいる疑い患者の鼻の検体を窓から採取するドライブスルー方式で、ピークの22年7月は連日100人以上を採取した。

 5類移行で、こうした業務はなくなった。陽性者に外出自粛を要請することもない。濃厚接触者も同様で、調査がなくなるため、そうした分類自体がなくなる。3年間続いたコロナ対応が急激に変わる中、保健所は医療機関をつないで入院調整をしたり、市民の相談に対応したりしている。

 その上で、手が回らなかった地域活動にも動き出す。保健課の斉藤典代課長は「停滞していた健康づくりの啓発や相談、医療保健の災害対策、在宅医療・介護などすぐに取り組みたい。コロナ下しか知らない新人職員にも地域活動を伝えないといけない」と話す。

 形部裕昭所長は「これまで無理なお願いをすることも多かったが、市民や関係機関の理解のおかげで荒波を乗り越えられた」と感謝する。「今後の感染対策は自主性に委ねられるが、手洗いやマスクは引き続き有効。体調不良に備え、自己検査キットや解熱剤を備蓄しておくといい。重症化リスクの高い人は積極的なワクチン接種を考えてほしい」と呼びかけている。