和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

「岸本流」で和歌山県庁改革 職員の声基に業務の効率化続々

席を決めない「フリーアドレス」やチーム制を採用した県行政企画課(5日、和歌山県庁で)
席を決めない「フリーアドレス」やチーム制を採用した県行政企画課(5日、和歌山県庁で)
 和歌山県の岸本周平知事は4日、新年度最初の定例記者会見で、職員の業務の在り方やルールについて、非効率な面が多いとし、さまざまな点で見直していく考えを示した。

 改善の一つとして、業務上のルールの緩和を挙げた。「職員は悪いことをするだろうという性悪説によって、細かいルールを決めている」と指摘。例として「和歌山市の役所に1時間だけ業務の打ち合わせに行くのに、わざわざ出張するための書類を作り、課長のはんこが要る。あり得ない。そんな自縄自縛のようなことがたくさんある」と紹介した。「そのために膨大な業務量が発生している。性善説に立って簡素化し、不心得があれば懲戒処分すればいい」と述べた。

 他にも非効率な面が多く見られるとし「皆で知恵を出し合い、業務を3割減らす。残業しなくて済み、ライフワークバランス(仕事と生活の調和)が取り戻せる。眉間にしわを寄せて暗い顔をして歩いていたら、県民を幸せにする仕事はできない」と話した。さらに「県庁内は縦割りがきつい。隣の課とすら話ができていないくらいだ」ともいい、改善を目指す考えを示した。

 業務の円滑化として、新年度に設置された行政企画課などでは、県庁のワイファイ(無線通信)環境が整備されてパソコンの持ち運びが可能になったのに伴い、自由に移動して協議や仕事ができるよう、席を決めない「フリーアドレス」を採用。同課ではさらに業務のチーム制を導入した。

 岸本知事はチーム制について、ある業務を職員1人で担当している場合、休暇が取得しづらいとし、実験的に導入し、問題がなければ全庁的に広めたいとした。


■「県庁の常識は 世間の非常識」

 岸本知事は3日、就任後初めての幹部職員への新年度訓示で「県庁の常識は世間の非常識。(就任してから)びっくりすることの連続だった」と切り出した。職員は真面目で優秀だとした一方「業務のやり方、考え方は世間の常識からあまりにもかけ離れている。今までやっていたことをこれからも続けるようでは世間の流れに置いていかれる。若い職員はどんどん辞めていく」と苦言を呈した。その上で「失敗したら元に戻せばいい。新しいことに挑戦していこう。肩の力を抜いて、楽しく明るく仕事をしていこう」と呼びかけた。