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2024年11月01日(金)

「宇宙探究」のカリキュラム素案決定 串本古座高校

2024年度に「宇宙探究コース」の開設が計画されている串本古座高校(和歌山県串本町串本で)
2024年度に「宇宙探究コース」の開設が計画されている串本古座高校(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県教育委員会は27日、民間小型ロケット発射場ができた串本町にある串本古座高校の普通科に、公立高校では全国初の宇宙専門コースとして2024年度設置予定の「宇宙探究コース」のカリキュラム素案が決まったと発表した。専門教員や宇宙の専門家とも連携した授業を行い「『宇宙』に関する科目」を3年間で7~11単位学習。主に理工系学部の大学への進学を想定している。


 県教委では昨年5月、宇宙探究コースの開設に向け、超小型人工衛星開発の第一人者である中須賀真一・東京大学大学院工学系研究科教授や小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」(串本町田原)を運営する企業「スペースワン」の遠藤守最高顧問、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の河本聡美・研究開発部門第二研究ユニット研究領域主幹、和歌山大学の伊東千尋学長ら7人を委員とする「県宇宙教育検討会議」を初開催。育てたい生徒像や3年間のカリキュラム、各委員と連携した授業を視野に入れた科目などについて検討していた。

 今回公表したカリキュラム素案では「『宇宙』に関する科目」として、まず1年生で「宇宙探究基礎」(2単位)が必修となる。

 2年生からは選択科目も始まり「宇宙ビジネス探究」(1単位)と「宇宙航空工学」(2単位)が必修で「宇宙観測と利活用」(2単位)は選択。3年生は「宇宙と国際理解」(2単位)が必修で「衛星データ分析と活用」(2単位)を選択できる。1単位で年間35時間(1時間は50分授業)が標準という。

 また、総合的な探究の時間や既存の科目でも、宇宙を題材とした学習を取り入れる予定。国公立・私立大学を中心とした理工系学部を主な進路先に想定しているが、宇宙についての観光や経済、国際関係など文系への進学にも対応したいという。

 検討会議座長の中須賀教授は「宇宙は高度な科学技術分野で、たくさんの学びの素材がある。宇宙を題材として、数学・理科・情報・地球環境・ビジネス・国際関係などを広く学び、さらに問題解決力や粘り強さを鍛えることは非常に効果的な教育となると信じている。そのためのカリキュラムをしっかりと議論してきた」などとコメントしている。

 県教委によると、高校の募集定員の発表は通常10月だが、全国募集も見据えた「宇宙探究コース」の定員については、それよりも早く発表したいという。