和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

発射に向けロケット教室 串本町、県内の中高生が参加

実験を通じてロケットについて学ぶ教室の参加者(21日、和歌山県串本町串本で)
実験を通じてロケットについて学ぶ教室の参加者(21日、和歌山県串本町串本で)
 和歌山県串本町田原の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」から年末ごろに予定されている初号機発射に向け、一般財団法人「雑賀技術研究所」(和歌山市)が中高生を対象としたロケット教室を開講した。県内にある中学校と高校から参加した生徒が21、22の両日に同町を訪れ、実験を交えながらロケットや人工衛星などについて学び、小型モデルロケット作りなどにも挑戦。初号機発射の当日も、ボランティアとして公式見学場で運営を手伝いながら見学する予定だ。


 子どもたちの科学や先端技術への興味を深めようと、全3回開く「サイカ/宇宙・ロケット・人工衛星教室」で、教職員らでつくる県宇宙教育研究会との共催。参加者を募集したところ約60人から応募があり、書類選考で絞ったが、当初30人程度としていた定員を上回る39(中学生33、高校生6)人が受講生に選ばれた。新型コロナウイルスの感染予防対策として、参加者には事前のPCR検査を義務づけたという。

 開講式が21日、同町串本の串本古座高校であり、県宇宙教育研究会の木皮享顧問が「いよいよ初号機が打ち上がる予定だが、ただ単に見学するのではなく、前もってロケットや人工衛星について学ぶなどしながら、より宇宙や先端技術への興味を深めてもらいたい」などとあいさつ。同校の榎本貴英校長も2024年度に宇宙のことを専門的に学ぶ「宇宙探究コース」が同校に新設されることなどをアピールした。

 続いて同町串本の町文化センターに移動し、研究会のメンバーが講師を務め、ロケットや人工衛星、英語でのコミュニケーションなどについて学ぶワークショップを開催。ビニール袋の傘入れを膨らませてゴムの重りをつけて投げ、ロケットで大切な重心について学ぶ実験をしたり、人工衛星の太陽光発電パネルにも使われている「ミウラ折り」という折り畳み方を教わったりした。22日には、同町潮岬での打ち上げを目指し、30センチほどの大きさの小型モデルロケットを作った。

 参加した近畿大学付属新宮中学校1年の松原咲奏さん(12)=串本町=は「ロケット打ち上げまでに宇宙などについて詳しくなりたいと思って参加した。知らないことを知ることができたし、知っていたことも深掘りできて良い経験になった。打ち上げ当日が楽しみ」と笑顔。雑賀技術研究所の中西豊理事(62)は「どれだけ集まってくれるかなどの心配もあったが、子どもたちが興味津々な様子で学んでくれており、開催して良かった。引き続いて子どもたちとコミュニケーションを取りながら興味や関心をより深め、12月のロケット打ち上げに臨みたい」と話していた。

 次回の教室は、年末ごろとされているロケットの打ち上げ前日と当日の2日間を計画。発射場の近くに設けられる公式見学場で運営のボランティアをしながら、打ち上げを見る。最終回は来年1月15日に和歌山市で開き、閉講式や成果発表会、記念講演を予定しているという。