和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

住民の支え合い広げよう みなべ町が「地域の宝」に認定

「地域の宝」の認定目録やバッジを受け取る清川地域の住民(右の4人)=和歌山県みなべ町東本庄で
「地域の宝」の認定目録やバッジを受け取る清川地域の住民(右の4人)=和歌山県みなべ町東本庄で
 「地域の支え合い」を町内で広めていこうと、和歌山県のみなべ町や町社会福祉協議会は12日、支え合いの発表会を同町東本庄のふれ愛センターで開いた。一緒に散歩したり、お茶を飲んだりするなど住民同士の何げない行動や活動を、支え合いにつながる「地域の宝」として認定するなどして、重要性を訴えた。


 町内でも高齢者の1人暮らしや高齢者夫婦だけの世帯が増えており、災害や困ったことがあった場合に対応できなかったり、人との付き合いが少ないことで孤立したりしないか心配されている。このため地域で人と人とのつながりを強め、支え合うことの重要性が指摘されている。

 そこで、町社福協が町の委託を受け、支え合いを広める活動に取り組んでいる。昨年11月と今年1月に清川地域で座談会を開き、支え合いにつながる行動や活動を区民から聞き取りした。

 この日の発表会では、話題になった五つの行動や活動をモデルケースとして紹介するとともに、それぞれを「地域の宝」として認定し、目録やバッジを贈った。

 一つ目は「かあさんの店 まみまみ」。閉店した喫茶店に代わり、住民有志がオープンさせた店で、住民が日替わりで接客している。地元の野菜や加工品も販売して地域の憩いの場となっており、常連が来なくなれば心配になるという。

 二つ目は、農作業の休憩時間に自動販売機前でしている井戸端会議。来ていないと心配になり、家まで迎えに行くという。

 商店を閉めた後も、元の常連客が訪れて一緒にお茶を飲んだり、畑が近い農家が農作業の合間に立ち話をしたりするケースも紹介された。いずれも、たわいない会話が息抜きになり、情報交換の場になっているという。

 最後に紹介されたのは、花植え活動をする「清川クリーンクラブ」。登録メンバーは約40人で、毎年、地元の小学生と一緒に球場の花壇にチューリップの球根を植えるなどの活動をしている。

 発表の他に、全国コミュニティライフサポートセンター職員で、全国の市町村などで地域づくりの支援をする宇城絵美さんによる、地域の支え合いをテーマにした講演もあった。

 近年、人と人とのつながりが希薄になり、困った時に助けてくれる人が身近にいないというケースは、高齢者だけでなく子どもにもあり、今後さらに増える可能性があることを指摘。地域の住民同士が支え合うことの重要性を訴えた。お茶飲みやラジオ体操、立ち話、犬の散歩、お裾分け、花の世話などの取り組みが見守りや支え合いにつながるという。

 発表会には約70人が参加した。町社福協は、「地域の宝」と認定した行動や活動をさらに活発にしてもらうとともに、地域の人たちにも知ってもらい、町内で広がっていくよう期待したいという。