和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

桜の名所復活へ みなべ町、猪之山公園に苗木植える

見晴らしが良い猪之山公園に植えられたソメイヨシノとツツジの苗木(和歌山県みなべ町芝で)
見晴らしが良い猪之山公園に植えられたソメイヨシノとツツジの苗木(和歌山県みなべ町芝で)
 和歌山県みなべ町芝の猪之山公園で、地元の芝崎区民が桜並木の復活を目指している。公園は小高い場所にあって、市街地や海を一望できる場所として知られ、3年前までは桜の名所だったが、急傾斜地崩壊対策事業で桜の木のほとんどがやむなく伐採された。区民らは「桜の名所を復活させたい」と苗木の植樹を始めた。


 猪之山は1976年まで火葬場があり、その後に跡地が公園となった。猪野山観音や道祖神が祭られ、住民でつくる「花の会」のメンバーらが桜の名所にとソメイヨシノやシダレザクラなどを植え、地域の憩いの場となった。桜の木は300本ほどで、舞台も設置され、花見シーズンには花まつりや夜のライトアップもあって、多くの人でにぎわった。

 しかし、斜面が崩壊すれば隣接する民家などに危険が及ぶ可能性が出てきたことから、県の急傾斜地崩壊対策事業としての工事の一環で2020年夏、桜の木のほとんどが伐採された。

 区民は当時、その伐採を見て寂しく思い、「いつかは復活させたい」と思っていたという。

 今回、植樹に対し県の補助があることを知り、芝崎区が環境緑化木配布事業の補助を申請し、認められた。

 植樹をしたのは1月29日。区の役員や区民ら約25人が参加し、斜面の平たんな場所や歩道に沿って高さ約1・5メートルのソメイヨシノの苗木25本のほか、高さ約50センチのツツジを75本植えた。

 今後も桜を中心に植樹を続ける計画で、区長の小山正人さん(54)ら役員は「公園では桜の木が少しは残っているが、立ち並ぶように復活させたい。みなべ町も高齢化が進んでいる。町なかの人が歩いて来られる桜の名所となるようにしたい」と話している。