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2024年12月24日(火)

ウミホタルの研究で総理大臣賞 近大新宮中の寺地君

内閣総理大臣賞を受賞した寺地優太君
内閣総理大臣賞を受賞した寺地優太君
全日本科学教育振興委員会賞を受賞した田辺高校科学部2年生の3人
全日本科学教育振興委員会賞を受賞した田辺高校科学部2年生の3人
 中高生が対象の「日本学生科学賞」で、近畿大学付属新宮中学校(和歌山県新宮市新宮)2年の寺地優太君(14)が最高賞の内閣総理大臣賞を受けた。田辺高校(田辺市学園)科学部は、全日本科学教育振興委員会賞を受賞した。


 読売新聞社が主催する日本最高峰の科学コンクール。66回目となる今回は、生物や地学、物理などの研究について、全国から約6万7千点の応募があった。昨年12月の中央最終審査には中学、高校の20点ずつが進み、各賞が決まった。

 寺地君の研究は「ウミホタルは血の匂いを感じて餌を見つける」。血液や紅茶などに含まれる成分が餌に多いと、ウミホタルの採取数が増えると考察した。小学生の頃からウミホタルの採集が趣味で、どうすればより多く採れるかという疑問に正面から向かい合ったことが高く評価された。

 現在も月に一度は那智勝浦町の宇久井港へ出向き、自作の仕掛けで採取するという。寺地君は「実験で仮説通りに証明できたことはうれしかった。受賞はすごく驚いた」と話している。

 ウミホタルは体長2~3ミリで、神秘的な光を放つことで知られる。自宅で約200匹を飼育しており「餌を食べているのを見ていると、いとおしい」という。

 田辺高校科学部の研究は「岩石の密度と地質構造」。2年生の前田香花さん(17)、増田輝瑠君(17)、谷本和香奈さん(17)が、県内各地で採取した100点超の砂岩や泥岩の密度を学校で計測した。

 砂岩は北から南へ行くにつれて密度が小さく、フィリピン海プレートが潜り込んだ際の圧力が北側によりかかっていると考察した。一方、泥岩は南北で密度の差が見られなかった。砂岩と比べて成分の隙間が少ないためで、地質の構造が反映されていると分析した。

 3人は、1年生の秋に始めた研究を1年ほどかけてまとめた。「好奇心の赴くままに調べた」という部長の前田さんは「(中央最終審査に進んだ)他の研究作品は面白いものばかりだったので、受賞はうれしかった。全てを自分たちでやったことが評価されたのかも」と話した。

 発表で使う資料はパソコンをうまく操れる増田君が作り、ピアノコンクールへの出場経験があって舞台慣れしている谷本さんが発表を担当。前田さんが審査員からの質問に答えるという分担も奏功した。

 科学部は、今夏に鹿児島県である全国高校総合文化祭に出場する。今回の研究をさらに深掘りした内容を発表するという。

 日本学生科学賞で田辺高校が入賞するのは1977年度の第21回以来。