和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月22日(金)

焙煎所兼カフェで復活へ 龍神温泉街の喫茶店

喫茶店を焙煎所兼カフェとして復活させる計画を進めている中川政寿さん(和歌山県田辺市龍神村龍神で)
喫茶店を焙煎所兼カフェとして復活させる計画を進めている中川政寿さん(和歌山県田辺市龍神村龍神で)
 トレイルランのガイドやインストラクターとして活動している中川政寿さん(41)=和歌山県田辺市龍神村小又川=が、龍神村龍神の龍神温泉街に唯一あった喫茶店を引き継ぎ、コーヒー豆の焙煎(ばいせん)所兼カフェとして復活させる計画を進めている。観光客や地元住民の憩いの場としてだけでなく、山歩きなどアウトドア体験の案内所や、地域の魅力を発信する拠点にもしたいという。


 奈良県出身の中川さんは、龍神村の環境を気に入り7年ほど前に家族で移住してきた。登山道を走るトレイルランナーとして活躍しながら観光ガイドとしても活動。高野山から龍神村を経て熊野三山に続く幻の熊野古道「奥辺路」や、龍神温泉街と小又川地区を結ぶ山道「出湯(いでゆ)の道遊歩道」の整備、龍神村の休耕田で自ら栽培したサツマイモを使ったビール(発泡酒)「龍神金熊」の商品化など、地域のPRにも取り組んでいる。

 喫茶店を引き継ぐことを決めたのは、約1年半前。店主が亡くなり閉店していたが、中川さんが「豆んと森珈琲」という屋号でコーヒー豆の焙煎士としても活動していた縁で、知り合いから「温泉街が寂しくなる。よかったら引き継がないか」と声をかけられた。経営経験はなかったが、何とか役に立ちたいと店の再生を決断した。

 焙煎士の経験を生かして、喫茶店は焙煎所兼カフェとして復活させる。中川さんは、焙煎の前に温泉水でコーヒー豆を洗うことで、雑味のないまろやかな味わいに仕上げたコーヒー豆「ドラゴンウォッシュロースト」を開発。このコーヒー豆を店頭やインターネットで販売するほか、カフェでは焙煎したてのコーヒーや、栽培したサツマイモを使った焼き芋などを提供する計画だ。

 また、龍神温泉は「奥辺路」と「出湯の道遊歩道」が交わる場所でもあることから、山歩きやトレイルラン、体験型ツアーの案内などアウトドア情報を発信する拠点にもしたい考えだという。焙煎機の購入費や店の改装費の一部は、クラウドファンディングで集めた。

 中川さんは「ここをきっかけに龍神村の関係人口を増やし、地域おこしの接点を創出していくことも目的の一つ。龍神村を知り、関わってもらえる仕掛けを考えていくことで、この温泉街を元気にしたい。まずはドラゴンウォッシュローストを使った龍神温泉の発信に注力したい」と話している。本格オープンは今春を予定している。