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2024年12月22日(日)

「宝印」求め参拝多数 熊野本宮大社で八咫烏神事

「八咫烏神事」の出席者の前で和紙に宝印を押す神職(和歌山県田辺市本宮町の熊野本宮大社で)
「八咫烏神事」の出席者の前で和紙に宝印を押す神職(和歌山県田辺市本宮町の熊野本宮大社で)
 和歌山県田辺市本宮町の熊野本宮大社は7日、正月に神門前で飾っていた門松で作った宝印を押し始める「八咫烏(やたがらす)神事」を営んだ。この日だけしか授与されない、和紙に宝印を押しただけの「白玉牛王(しらたまごおう)」を求め、約170人の参拝者が訪れた。

 県の無形民俗文化財でもある神事は午後5時、拝殿で始まった。神職は火と水で「熊野牛王神符(くまのごおうしんぷ)」を清め、暗闇の中で「えーい」と声を上げながら3度、宝印を拝殿の柱に押した。

 例年なら参拝者が持つ和紙に神職が宝印を押すが、感染防止のため、神職が押印したものを順に授けた。

 出席した総代会長の榎本隆文さん(71)=本宮町本宮=は「毎年この神事で白玉牛王を受け取ると、気持ちも引き締まる。コロナ禍が早く終わり、この1年を無事で過ごせるようにと願った」と話した。

 九鬼家隆宮司によると、白玉牛王は「生まれたての宝印」という意味もあって貴重とされる。宝印はこの日以外は、熊野牛王神符に押して使う。