和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月16日(土)

【動画】幸福願って矢放つ 潮御崎神社で「御弓式」

的に向かって矢を放つ裃姿の高校生(和歌山県串本町潮岬で)
的に向かって矢を放つ裃姿の高校生(和歌山県串本町潮岬で)
 和歌山県串本町潮岬の潮御崎神社で2日、町無形民俗文化財に指定されている「御弓式」が営まれた。住民の健康や幸福などを願う正月の伝統行事で、地元の高校生2人が的を目掛けて勢いよく矢を放った。

 江戸時代の元禄(1688~1704年)のころにはすでに執り行われていたとされる。地区の繁栄や住民の健康などを願って毎年この日に営んでおり、今年は串本古座高校の元弓道部員である3年生の田沼想太君(18)と現役部員で1年生の竹田颯馬君(16)が「弓引き」、潮岬小学校3年の堀源祐君(8)と小泓橙真君(9)が放たれた矢を回収する「矢取り」という役を、それぞれが初めて務めた。

 この日は神社で神事をした後、少し離れた場所にある的場に移動。裃(かみしも)姿の高校生は伝統の作法にのっとり、約26メートル離れた的を目掛けて6本ずつ矢を放って命中させ、見守っていた参拝者から大きな拍手が送られていた。

 田沼君は「緊張したが、的に当てることができた」、竹田君も「重要な儀式で射ることができて良かった」と笑顔。責任総代の芝山定史さん(65)は「若い子たちが潮岬の伝統を引き継いでくれたことをうれしく思う。コロナという災いに負けずに、氏子の皆さまが今年一年幸せであるようにと願うことができた」と話していた。