和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

梅干しでヒット商品を 高校生がメーカーと共同開発へ

中田食品の小渕一範さん(手前)の説明を聞きながら梅干しを手に取る神島屋メンバー=和歌山県田辺市文里2丁目で
中田食品の小渕一範さん(手前)の説明を聞きながら梅干しを手に取る神島屋メンバー=和歌山県田辺市文里2丁目で
 神島高校(和歌山県田辺市文里2丁目)の商品開発プロジェクト「神島屋」の1年生7人と梅干し製造・販売大手「中田食品」(同市下三栖)が共同で、梅干しの商品開発を始めた。さまざまな梅商品を売り出してきた神島屋も梅干しは初めて。若者の梅干し離れが言われる中、高校生ならではの視点でヒットを生み出そうとしている。


 田辺市とみなべ町は日本一の梅の産地。梅干し出荷量は国内の80%を占める。ただ、梅干しの消費者は高齢者が大半で、1世帯当たりの購入量は年々減少。生産者の高齢化も進んでいる。

 共同プロジェクトの初顔合わせが神島高校であり、中田食品販売部次長の小渕一範さんが、梅産業の現状や課題を説明。「紀州南高梅は高品質でブランドを確立できている。しかし、近年は『かつお梅』『はちみつ梅』のような業界を活性化するヒット商品が出ていない」と高校生の発想に期待を寄せた。

 神島屋のメンバーからは「若い女性をターゲットにSNS(交流サイト)で拡散したくなる商品」「ハート形など従来の丸い形ではない、思わず手に取りたくなる梅干し」「完熟梅の香りを生かした商品」「調味料として使ってもらえないか」などのアイデアが出た。

 仮屋心聖(かりや・みさと)さんは「梅は身近な存在。中田食品は社会見学で訪れたこともあり、一緒に商品開発できるのが楽しみ。若者はSNSで情報を得るので、思わず発信したくなるようなビジュアルが大事。若い女性に受ければ、そこから幅広い世代に広がるはず」と意気込みを語った。

 小渕さんは「高校生には私たちとは違った発信力がある。どんな商品が生まれるか楽しみ。地域の産業に関心を持ってもらい、地元で働く若者が増えることにもつながればいい」と話している。

 商品は神島屋が出店するイベントなどでも販売したいといい、来春ごろの完成を目指している。