和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

山里におはやし響く 田辺市龍神の各地で秋祭り

荒嶋神社の秋祭りでは、王仁と和仁による獅子とのユーモラスな掛け合いが披露された=3日、和歌山県田辺市龍神村甲斐ノ川で
荒嶋神社の秋祭りでは、王仁と和仁による獅子とのユーモラスな掛け合いが披露された=3日、和歌山県田辺市龍神村甲斐ノ川で
コロナ禍で3年ぶりに披露された、丹生ノ川の氏子らによる神楽と獅子舞(3日、和歌山県田辺市龍神村丹生ノ川で)
コロナ禍で3年ぶりに披露された、丹生ノ川の氏子らによる神楽と獅子舞(3日、和歌山県田辺市龍神村丹生ノ川で)
 和歌山県田辺市龍神村の各地の神社で3日、秋祭りが営まれた。コロナ禍でこれまで神事のみとしていた甲斐ノ川の荒嶋神社と丹生ノ川の丹生神社では、3年ぶりに屋台を出して神楽や獅子舞を奉納。秋晴れの山里に祭りばやしが鳴り響いた。


■荒嶋神社

 荒嶋神社では福井、甲斐ノ川、小家の各地区の屋台が神社近くの広場に集合。祭りの見せ場の一つである、鼻の長い王仁(おに)と口が大きく裂けた和仁(わに)による獅子とのユーモラスな掛け合いが披露され、訪れた多くの見物人を楽しませた。

 その後、屋台を担いだ氏子たちの威勢の良い声が飛び交う中、各地区の屋台が神社の階段を上って宮入りし、神前で神楽を奉納した。屋台が激しい競り合いを見せる「屋台合わせ」や餅まきは、今年も中止した。

 荒嶋神社の責任役員を務める松本修吾さん(92)は「天気も良く、無事にお祭りをできて良かった。多くの人も見に来てくれて、地域ににぎわいができてありがたい。伝統を絶やさないためにも、来年こそは例年と同じ形でお祭りを執り行いたい」と話した。


■丹生神社

 龍神村丹生ノ川の丹生神社は、コロナ禍で2020年と21年は神事のみを営んでいたが、今年は例年通り屋台を出して獅子舞をした。地区の丹生ノ川振興館と丹生ヤマセミ温泉館、丹生神社で、氏子が笛と太鼓による神楽と獅子舞を披露し、祭りを盛り上げた。神社前では餅まきもした。

 丹生ノ川の山本淳彦区長(68)は「今年は待望のお祭りができてうれしい。秋祭りは地区の伝統行事であり、住民や地区の外に出ている人が寄り合う場にもなっている。担い手が少なくなり、いつまでできるか分からないが、できる限り続けていきたい」と語った。



 同日には、龍神村龍神の皆瀬神社と龍神村殿原の惣大明神でも秋祭りが営まれた。惣大明神では規模を縮小して神楽と獅子舞を実施し、新型コロナウイルスの撃退を祈願して餅まきもした。30年以上前に殿原の氏子から祭りばやしを習った縁で、今年も海南市の且来(あっそ)八幡神社の氏子2人が参加した。皆瀬神社は神事のみを執り行った。

 龍神村東の丹生神社の秋祭りは6日にあり、神事のみを営む。