和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

海と山まるごと満喫して 田辺市で新たな観光商品づくり

漁船に乗り、地元の漁師に教わりながら釣りを体験する参加者(和歌山県の田辺湾沖で)
漁船に乗り、地元の漁師に教わりながら釣りを体験する参加者(和歌山県の田辺湾沖で)
 海と山、まるごと満喫して―。和歌山県田辺市のまちづくり会社「南紀みらい」と、旅行業を営む「田辺市熊野ツーリズムビューロー(TB)」は、田辺湾エリアと熊野古道エリアを市街地で結ぶ新たな観光商品づくりに取り組んでいる。豊かな自然や文化を生かし、コロナ禍を経た新しい旅の形として展開したいという。

 南紀みらいとビューローは、ともに田辺市を拠点に官民連携で活動する法人。南紀みらいはまちなかを中心に、ビューローは世界遺産「熊野古道」を中心に事業を展開してきた。

 今年3月、両法人は財政面や人材面で協力し合うことを盛り込んだ包括業務連携協定を締結。互いの経験やノウハウを生かしながら、新たな事業を生み出そうとしている。

 11~13日には、新商品づくりの参考にしようとモニターツアーを実施。東京都や大阪府などからカメラマンや映像作家ら8人が参加した。

 田辺湾エリアでは、海の魅力を体感。地元の漁師が操縦する2艘(そう)の漁船に乗り込み、江川漁港から沖合に出た。

 海からは天神崎や神島、扇ケ浜などが一望できる。参加者は心地よい潮風を浴びながら、360度見渡せる雄大な風景を映像に収めていた。

 船釣りにも挑戦。漁師にこつを教わりながら、タイやイサギ、カサゴ、ベラなどを次々と釣り上げ、歓声を上げていた。

 年10回ほど田辺市を訪れているという映像プロデューサーの沼澤瑛介さん(24)=東京都=は「田辺は静かで過ごしやすく、リラックスできる環境で引かれている。漁師さんと触れ合いながらの釣り体験は、初心者でも楽しめると思う」と満足した様子。漁師の津呂貴之さん(41)は「自分たちにとっても楽しかった。こうしたツアーをきっかけにたくさんの人が田辺を訪れ、活性化につながればうれしい」と話した。

 モニターツアーではこのほか、扇ケ浜海水浴場でカヤックやビーチヨガなどを体験。熊野古道歩きもした。

 南紀みらいの担当者は「何げない風景でも観光資源になること、新たな価値を生み出せるということを改めて感じた。漁師さんをはじめ地元の方たちと連携して取り組んでいきたい」と話した。